記念的な夜とあって、the pillows、ACIDMAN、GLAY、POLYSICSなど、たくさんのフェロー・ミュージシャンズも駆けつけるなか、19時を少し回ったころ、何の前触れもなく突如場内が暗転。同期的に湧き上がった「ワ――ッ!!!」という大歓声に迎えられて４人がオン・ステージ（シンペイはさっそくイスに乗り上げて観衆を煽っている）。そして、明滅するフラッシュ・ライトとともに１曲目“クラッシュ”を響かせれば、武道館の熱はたちどころに上昇。３曲目の“Melodic Storm”では盛大なシンガロングとオイ・コールがこだまし（フロア前方ではヘッド・サーフも勃発！）、早くも最初のピーク・ポイントが訪れた。さすがは歴戦のライブ・バンド、武道館での大一番と言えど、硬さや気負ったところのまったくない、パワフルでダイナミックな演奏だ。ホワイトのＳＧギターを掻き鳴らして歌うホリエのボーカルも、クリアかつ伸びやか。遠目からで表情こそはっきりとは捉えられなかったけれど、その活き活きとしたバンド・サウンドがメンバーの漲る感情をビビッドに伝えていた。
最初のブロックを終えてホリエ、「これはこれは、よく来たね！ 音楽を作って、ライブで表現するっていうのを我々日常としてますけど、これはどう見ても日常じゃない。日本武道館ですから！ “東京〜”でも“横浜〜”でもなくて、“日本”ですよ。大したもんです……」と感慨深げに第一声を届けていた。
すっかり武道館をホームとしたテナー、一気にアクセルを踏み込んで“Stilt”→“FREE”と畳み掛け、９曲目“DISCOGRAPHY”ではステージ後方から波状的にレーザー・ビームが放射！ そう、この夜はライティングをはじめ演出面でも嗜好が凝らされまくっていて、10曲目の“Lightning”ではステージ・バックにデカデカと映像が投影。ノスタルジックな音像とともにアゲハ蝶の飛び交うイメージが武道館を幻想的なムードで包んだ。そのほか数曲で映像が使用されたのだけれど、そのどれもが映画祭の短編フィルム部門に出品できそるくらいの完成度を誇っていて、チーム・ストレイテナーのプロフェッショナリズムに大いに感嘆させられました。
中盤に再びホリエがＭＣ。「音楽を作るのは、いつも80％は自分のために作ってるんだけど、今日は100％みんなの笑顔のために音楽を演りたいと思います！」って、んなこと言われたら「ウォ――!!」ってなりますよ、誰だって。そっからの３連発――“POSTMODERN”、“KILLER TUNE（Natural Born Killer Tune Mix）”、“Little Miss Weekend”ではフロアはもちろん、１階席、２階席も総立ちとなって半狂乱のダンス・タイムに突入。武道館に目も眩むようなクライマックスが立ち現れた。
盛大な声援と手拍子に応えて、アンコールでは“REMINDER”と“Yes, sir”をプレイ。「ロックン・ロールいきます!!」とシンペイが叫び、大山が狂騒的にブルース・ハープ吹き鳴らした後者での盛り上がりはマジ半端じゃなくって、フロアには下北沢SHELTERさながらの壮絶なモッシュが現出した。その興奮をなだめるように場内にしっとりと“ネクサス”のアコースティック・バージョンが流れ、これでライブも終了かと思いきや、再びふらりと４人が登場！ 出口へ向かっていたオーディエンスが大慌てで踵を返すなか、鍵盤に向き合ったホリエが“MARCH”の旋律を奏でる。感謝の気持ちを一人ひとりに届けるような、丁寧かつエモーショナルな演奏で『Nexus』ツアーは感動的なフィナーレを迎えたのだった。
ちなみに場内にたくさんのカメラ・クルーがいたの、気づきました？ そう、当公演がDVD作品として８月５日にリリースっす！ ニュー・シングルも同時発売されるとのことなので、武道館に行った方も行けなかった方もお楽しみに！（奥村明裕）
１．クラッシュ
２．Ark
３．Melodic Storm
４．TODAY
５．AFTER THE CALM
６．Play THE STAR GUITAR
７．Stilt
８．FREE
９．DISCOGRAPHY
10．Lightning
11．奇跡の街
12．LIVES
13．蝶の夢
14．Black Hole
15．POSTMODERN
16．KILLER TUNE（Natural Born Killer Tune Mix）
17．Little Miss Weekend
18．Magic Blue Van
19．ROCKSTEADY
20．TRAIN
21．SIX DAY WONDER
22．イノセント
23．ネクサス
アンコール
24．REMINDER
25．YES,SIR
アンコール２
26．MARCH
