BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ - All photo by Taku FujiiAll photo by Taku Fujii

●セットリスト
01.FUTURE METAL
02.DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)
03.ギミチョコ!!
04.Elevator Girl
05.Shanti Shanti Shanti
06.Starlight
07.Kagerou
08.Distortion(feat. Alissa White-Gluz)
09.メギツネ
10.PA PA YA!! (feat. F.HERO)
11.KARATE
12.Road of Resistance
13.Shine
14.Arkadia


ライブの最後、アルバム『METAL GALAXY』のラストナンバー“Arkadia”の壮大なメタルスペクタクルを全身で受け止めながら、自分の中のメタル観/ポップ観のみならず「BABYMETAL観」までもが鮮やかに刷新されるのを感じていた。
今や世界規模で狂騒と歓喜を巻き起こし続けているBABYMETALだが、SU-METAL(Vocal & Dance)・MOAMETAL(Scream & Dance)とサポートダンサー・神バンドのみならず、音響/映像/照明まで一丸となったトータルアートとしての完成度と、それによって描き出される「メタルの銀河」のダイナミズムに、終始圧倒され感動し通しだった。

3年半ぶりの新作アルバム『METAL GALAXY』の全世界同時リリースに先駆け、9月4日の米・オーランド公演で幕を開けた「METAL GALAXY WORLD TOUR」。
アルバム発売日=10月11日にはアメリカ初のアリーナ公演となるロサンゼルス・The Forum公演でソールドアウトの熱狂空間を生み出すなど、その「最新型」の訴求力を存分にアピールしてきたBABYMETALが、北米ツアーの凱旋公演としてさいたまスーパーアリーナ&大阪城ホール各2日間にわたって開催した「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN」。
そのジャパンツアーの2日目:11月17日たまアリ公演の会場に渦巻いていたのは、「メタルとポップの融合」と定義されたかつてのBABYMETALの在り方を遥かに凌駕する、世界のエンターテインメントの先駆者としてのハイエナジーな生命力そのものだった。

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

今回のジャパンツアー全4公演でスペシャルゲストを務めたのは、今やUK屈指のロックアイコンへと飛躍を遂げたブリング・ミー・ザ・ホライズン。冒頭からいきなり最新配信シングル曲“Ludens”を轟かせ、会場一面のOiコールを沸き上がらせる。メタルコアで鍛え上げた重轟音の爆発力に、ハイブリッドなサウンドメイキングで驚愕必至のスケール感と透徹度を与えながら音楽的革新を果たしてきたBMTHの衝撃を、満場のオーディエンスに開演早々から叩きつけていく。

「トキオ! Are you ready?」と喉も避けんばかりの絶叫越しに呼びかけるオリヴァー・サイクス(Vo)のアグレッシブな佇まい。“MANTRA”や“The House of Wolves”での映像演出&ダンサーを擁したミステリアスなステージングが想起させる、鮮烈で重厚な批評性。そして、頭も心も震撼させるようなサウンドの強度と剛性――それらが渾然一体となって、巨大な空間の温度を刻一刻と高めていく。
「Next song is dedicated to BABYMETAL!」のコールから炸裂させた“Happy Song”ではアリーナをモッシュの渦へと導き、「You guys are amazing!」と日本の観客へ惜しみない絶賛を捧げたオリヴァー。“Medicine”から“ Drown”、“Throne”へと畳み掛け、高らかなシンガロングとハイジャンプの光景を繰り広げたフィナーレは、UKシーンを担う迫力に満ちていた。

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

そしてBABYMETAL! 『METAL GALAXY』の曲順そのままに“FUTURE METAL”から“DA DA DANCE”へと雪崩れ込み、SU-METALのクリスタルの如く澄んだ熱唱が、たまアリを一気に灼熱のダンス空間へと叩き込んでみせる。
「さいたま! 声聞かせて!」のSU-METALのコールに応えて熱い大歓声が吹き荒れた“ギミチョコ!!”を経て、さらに“Elevator Girl”へ――といった具合に『METAL GALAXY』収録曲を軸として構成されたこの日のライブ。実に14曲中10曲を新作曲が占めた意欲的なアクトに、曲によって高々と持ち上がるトライアングル状のステージセットや、巨大ビジョンを高精細に彩ったビジュアルワーク、そしてその歌声も神バンドの辣腕メタルアンサンブルもクリアかつ強靭に鳴り渡らせていくサウンドデザイン(PA周りも含め)が無限のバイタリティを吹き込んでいたのが印象的だった。

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

“Elevator Girl”の弾むようなポップ感、“Shanti Shanti Shanti”のオリエンタルな妖艶さに満ちたメロディ、“Starlight”の凜とした緊迫感――。メタルを軸として多彩な音楽ジャンルの銀河への旅と邂逅を実現した『METAL GALAXY』。その表現を可能にしたのは何より、世界のシーンを魅了してきたSU-METALのボーカリストとしての極限進化ぶりだろう。
舞台上に炎が妖しくゆらめく中“Kagerou”で響かせた渾身の絶唱も、噴き上がる火の玉よりも目映い輝度に満ちた“Distortion”のボーカリゼーションも、3人の躍動感あふれるダンスパフォーマンスと相俟って、1曲また1曲とアリーナ&客席を熱狂の頂へと導いていく。“メギツネ”での「埼玉! もっと声出せるよね?」のSU-METALの煽りが、雄叫びのような歓声と会場一面のジャンプを呼び起こしていった。

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

見渡す限りにタオルが渦巻き、メタル×レゲトンのビートにたまアリが揺れた“PA PA YA!!”。最後の《走れ》で全身を振り絞るような魂のロングトーンが胸震わせた“KARATE”。舞台上で拳を掲げて満場の観客をシンガロングへと導いていくSU-METALの姿が時代の最前線で闘うポップクルセイダーの眩しさを放っていた“Road of Resistance”……名場面だけで綴られたようなステージは体感時間であっという間に終幕を迎え、「We are?」、「BABYMETAL!」のコール&レスポンスが濃密な祝祭感を巻き起こしていった。

BABYMETAL/さいたまスーパーアリーナ

ライブの終章は“Shine”から“Arkadia”へ、『METAL GALAXY』の物語と広がりをそのまま具現化するようなドラマチックな時間が流れていく。アコースティックギターの音色と響き合うメタルバラード“Shine”の青白く雄大なサウンドスケープに、誰もが陶然と聴き入っていく。そして、熾烈なる熱演の数々の果てにさらなるクライマックスを描き出した“Arkadia”。《今 for your dream, for your faith, for your life/動き始めた未来の地図は君の中にある》――世界の音楽シーンというカオスの中で闘いながら唯一無二の存在感を放つに至ったBABYMETALが、その音楽世界の高純度結晶の如き楽曲&バンドサウンドとともに歌い上げる言葉が、メッセージを超えた福音の如く会場を熱く強く震わせていた。

2020年1月25(土)・26日(日)には幕張メッセにて「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW / LEGEND - METAL GALAXY」を開催、2月からはヨーロッパ~アジアのツアーを控えているBABYMETAL。6月の英「Download Festival」をはじめとする海外フェス出演のスケジュールとともに、「その先」への期待を抑え難く沸き立たせる最高の一夜だった。そして、12月28日(土)にはCOUNTDOWN JAPAN 19/20のEARTH STAGEに登場!(高橋智樹)

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