『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN

『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN - all picts by Shino Sekiall picts by Shino Seki
『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
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『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
シーナがロックンロールを愛したのと同じくらい、シーナはロックンロールに愛されていたのだ。その事実が、眼前で証明される一夜だった。今年2月14日に旅立ったロックアイコンのための、4月7日「シーナの日」。彼女が晩年まで長らく暮らした下北沢GARDENのステージに、笑顔で鮎川誠(Vo・G)、奈良敏博(B)、川嶋一秀(Dr)らシーナ&ロケッツの面々が立ち、キーボードに中山努が加わった4ピースで“BATMAN THEME”を鋭く繰り出すオープニングである。鮎川は「30年40年、日本のロックを盛り上げて来た仲間たちも集まってくれました! クリス(・モズデル)に言いつけられたんで、1曲やります」と笑いを誘って、クリス・モズデル作詞の“DEAD GUITAR”を歌う。

『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
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目下のシナロケ最新アルバムから“ROKKET RIDE”のヴォーカルを担うのは、シーナと鮎川の実娘=LUCY MIRRORだ。その直後には奈良も自ら甘いヴォーカルを執って喝采を誘い、キンクス“YOU REALLY GOT ME”カヴァーで鮎川の鬼リフの中に歌うのはLÄ-PPISCHのMAGUMIである。岩口タカ&本間章浩の元・赤と黒コンビがサウンドに一層の凶暴性を加え、澄田健が歌う“SUGAREE”では、90年代後半にシナロケのレコーディングにも参加した穴井仁吉がベースを握る。その直後、軽快なモータウン・ビートの“SWEET INSPIRATION”を歌うのは、澄田らとVooDoo Hawaiiansとしての活躍を続けている元PRINCESS PRINCESSの中山加奈子。この辺りの顔ぶれは、あのイジワルケイオールスターズを思い出させてくれて楽しい。

『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
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“HAPPY HOUSE”で登場するのは、現在Dee Dee Feverとして活躍しているKEICOT(Vo)と池畑潤二。その池畑ドラムスの一幕に花田裕之が加わり、ザ・ルースターズ“DO THE BOOGIE”をかましてしまうのだから堪らない。さらにロックンロールなアレンジの“WHAT A WONDERFUL WORLD”で姿を見せたのはARB・石橋凌。シナロケ、ルースターズ、ARBと、ものの10分やそこらでめんたいロックのレジェンド達が揃い踏みになってしまう。Romel Amadoはゼム“GLORIA”のスモーキーな熱演をシーナに捧げた後、鮎川が歌う“ロックンロールの夜”をギターでサポート。そして「俺たちから見たら若手になるんだけど」と紹介されたのは、ハット姿のチバユウスケ&髪を短く刈り込んだ中村達也だ。ここはもちろん“I'M FLASH“Consolation Prize””が炸裂である。しかしそれ以上に感慨深かったのが、「シーナさんいなくなって寂しいけど、そんな時こそ元気出して行こう」と告げて“LAZY CRAZY BLUES”を歌った浅井健一。ベンジーはBLANKEY JET CITY時代にも、しばしばこの気怠さに火をつけるような名チューンを歌っていた。

『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
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鮎川の狂おしいギターが咲き乱れる“PINUP BABY BLUES”を経て、「これで戸越銀座のストリートロッカーが全部揃った!」と招かれるのはCharである。溜息が漏れるようなプレイで2曲を披露し、続いてはRCサクセションとして初めて下北沢・屋根裏でシナロケに会ったという仲井戸"CHABO"麗市。「あの頃、ブリンズリー・シュウォーツとか、グレアム・パーカーとか来てたよね」(鮎川)「そうだ。マコちゃん記憶力すごい!」(CHABO)と言葉を交わし、“雨上がりの夜空に”で大合唱を誘う。更に永井”ホトケ”隆が圧巻のR&B歌唱を届けると、ステージにはオレンジ色の長髪をなびかせ、数々のシナロケ・ナンバーで作詞を手掛けた元・サンハウスの菊こと柴山俊之が登場。かつての盟友と共に“キングスネーク・ブルース”や“DREAM+REVOLT”、そして鮎川とヴォーカルを分かち合う“LEMON TEA”と、名曲群を立て続けに披露するのだった。

『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
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『シーナの日』#1 ~シーナに捧げるロックンロールの夜~@下北沢GARDEN
日本ロック史のドキュメンタリーを猛スピードで観るような豪華セッションの行く末、「勝手にシーナの日とか決めて、文部省に怒られんやろうか。でもあの葬儀の日に、みんなでシーナの音楽をやりたいと思った。何分ぐらいやったのかな。DVD一枚に収まるかな」と鮎川が告げて、本編最後に「下北沢のジャニス!」と金子マリを呼び込む。彼女が歌う“YOU MAY DREAM”は、あのシーナが吹き込んだ台詞部分を、シンガーとしてまた同じ母親として、シーナへの親愛を込めたメッセージに置き換えていて余りにも感動的だった。アンコールに応えると、Zi:LiE-YAの内藤幸也やカルメン・マキ&OZでも活躍した武田"chappy"治らまでが飛び入り。この夜の出演者が所狭しと居並び、賑々しく《Go Sheena Go!》と歌声を上げる“JOHNNY B. GOODE”だ。絵に描いたような、《それが私のすてきなゆめ》というロマンチックな光景である。シーナにはさようならの代わりに、奇跡の贈り物をありがとう、と伝えたい。(小池宏和)

■セットリスト

01. BATMAN THEME
02. DEAD GUITAR
03. ROKKET RIDE (LUCY MIRROR)
04. BABY LOVE
05. YOU REALLY GOT ME (MAGUMI)
06. おまえがほしい (岩口タカ/本間章浩)
07. SUGAREE (澄田健/穴井仁吉)
08. SWEET INSPIRATION (中山加奈子)
09. HAPPY HOUSE (KEICOT/池畑潤二)
10. DO THE BOOGIE (花田裕之/池畑潤二)
11. WHAT A WONDERFUL WORLD (石橋凌)
12. GLORIA (Romel Amado)
13. ロックンロールの夜 (Romel Amado)
14. I'M FLASH“Consolation Prize”〈ホラ吹きイナズマ〉 (チバユウスケ/中村達也)
15. LAZY CRAZY BLUES (浅井健一)
16. PINUP BABY BLUES
17. VIRUS CAPSULE (Char)
18. WHITE ROOM (Char)
19. 雨上がりの夜空に (仲井戸"CHABO"麗市)
20. I GOT YOU (I FEEL GOOD) (永井”ホトケ”隆)
21. キングスネーク・ブルース (柴山俊之)
22. DREAM+REVOLT (柴山俊之)
23. LEMON TEA (柴山俊之)
24. YOU MAY DREAM (金子マリ)

(encore)
01. JOHNNY B. GOODE
02. GOT MY MOJO WORKIN”
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