【インタビュー】メタルシーンに突如現れた新星・Zilqy。鮮烈なデビューから1年、Annaがこれまでの歩みと1stアルバム『Birth of Riot』に刻んだ決意を語る

【インタビュー】メタルシーンに突如現れた新星・Zilqy。鮮烈なデビューから1年、Annaがこれまでの歩みと1stアルバム『Birth of Riot』に刻んだ決意を語る

Zilqyで音楽と一心同体になる体験をさせてもらって、初めて「音楽ってこんなに自由なんだ!」と感じられるようになった

──昨年12月に初ライブをして以降、今年はツアーや「SUMMER SONIC 2026」出演などライブの機会が増えていますが、ライブに向き合う感覚は変わってきましたか?かなり変わりました。もともとあがり症で、緊張しやすいタイプなので。最初の頃は、もうライブの日が来なければいいのにと思うくらい大変でした(笑)。あまり顔には出ないらしいんですけど、初ライブはもちろん、今年のツアーもサマソニも本当に胸が苦しくなるくらい緊張しましたね。でも、直近のライブで「Annaスイッチ」みたいなものを見つけられた気がしていて。Annaというパフォーマーをどういうふうに見せたいのか、みんながどういうAnnaを求めているのかを考える機会があって、それを体現することが自分の使命なんだと思えるようになれたんです。そのスイッチが入ると、自分の主観ではなく客観で動けるようになるんですよね。曲に溶け込んで、メロディと一体化して自然に動けるというか。──最初の頃は、逆に「こういうふうにしなければ」と頭で考えていたところがあったんですか。まさにそうでした。歌詞の紙に、ここはハンドマイクにする、スタンドを持つ、上手に行く、とかいろいろ書き込んでいたくらい(笑)。それを見たプロデューサーに「ライブはナマモノだから、自分の感じたままに表現してごらん」と言われて、パッと気持ちが解放されたんです。過去のプロジェクトを振り返ると、もっと自分に厳しかったので……期待に応えるために努力しなきゃ、頑張らなきゃって凝り固まってしまって、それが表現の邪魔をする場合もあったんだろうなと思います。Zilqyで音楽と一心同体になる体験をさせてもらって、初めて「音楽ってこんなに自由なんだ!」と感じられるようになりました。
【インタビュー】メタルシーンに突如現れた新星・Zilqy。鮮烈なデビューから1年、Annaがこれまでの歩みと1stアルバム『Birth of Riot』に刻んだ決意を語る
──7月のワンマンライブのバックステージを映した「From Zero To One Behind The Scene」という映像で、「不完全な自分を見てもらおうと思って、自分の素を見せたライブでした」と仰っていましたよね。ライブの途中で気づくことがあったんですか。あの時は、ライブの途中で完全に声が死んでしまって。アンコール1曲目が“Bleeding Love”という大切な曲だったんですけど、アウトロに高音が続くパートがあって、そもそもライブで失敗する割合が高い楽曲なんですよ。……まあ、アウトロのメロディは私がつけたので、自分で自分の首を絞めちゃっているんですけど(笑)。もう歌う前から声が出ないことがわかっていたので、すごく悔しいけど、悔しい感情も表現にしてしまおうと思ったんです。普段はスタンドマイクでちゃんと頭と体を固定して歌うところ、声が出ないなら仕方がないと思って、お立ち台の上でハンドマイクで思いっきり歌いました。不完全な姿を見せて、無様だけどそれでも精一杯やってやろうじゃないか!という思いでしたね。

──そうだったんですね。そういう考え方になれたのは、アルバム『Birth of Riot』のおかげだと思います。特に“RUN”と“Misfit Toys”には完全にそういう心境が書かれていて。これらの曲がなかったら、7月のライブでも萎縮しちゃっていた気がします。自分に向けて書いているところがあるので、自分で自分自身の背中を押すことができたのかな。もともとZilqyへの加入を決めた時から、未熟なりに精一杯やってやろうと思っていたので、その気持ちがライブで体現されたのかもしれない。──以前だったら悔しさで心が折れていたような場面でも、今は逆にそれをエネルギーにするくらいのメンタルになれたと。そうですね。メンバーが「Annaの歌じゃないと」と誘い続けてくれたことが大きな支えになっていて。こんな未熟な自分でも受け入れてくれるなら、成功か失敗かを考えず、過程で一生懸命頑張ればいいやという気持ちになれたんだと思います。歌っている時も、楽器隊の力強いヘヴィなサウンドが支えになっていますね。
【インタビュー】メタルシーンに突如現れた新星・Zilqy。鮮烈なデビューから1年、Annaがこれまでの歩みと1stアルバム『Birth of Riot』に刻んだ決意を語る

もともと感受性爆発マシーンみたいな人間なので(笑)。感情の振れ幅が大きいところを活かせる職に辿り着けたのは嬉しい

──『Birth of Riot』という1stアルバムを完成させた手応えが大きかったんですね。ずっとモヤモヤして言葉にできなかった感情をひとつの作品に込められて、これが今まで私言いたかったことだったんだ!とスッキリしました。ここからさらに煮詰めていけば、ライブでもっとスッキリすると思っていて。みなさんの前でステージに立って表現して、新しい花を咲かせられるんじゃないかなとワクワクしています。

──『Birth of Riot』では、音楽性が幅広くなっただけじゃなく、Annaさんの表現や声の使い方自体もより多彩になっていますよね。“RUN”のパンキッシュな歌い方や、“Psycho”で淡々と歌う低いキーから力強いハイトーンに繋がったり。ご自身としても幅が広がった実感はありますか?絶対そうだと思います。今までは「いい子」な声だったんですよね。Zilqyに入って初めてレコーディングした“Carry On”でも、うまく歌おうとする昔の癖がまだ少し残っていたと思う。もらった音源に対してただ歌詞を当てはめていくだけで、聴き手に刺さる歌い方を追求したことがなかったんです。今もまだ模索中ではありますけど、アルバムの全楽曲に対しては、すごく素直に、自分という存在を忘れるくらい集中して向き合いました。自分でもびっくりしたのが、“Other Side of the Moon”ですね。完成した曲を聴いた時に、いい意味で自分らしくないなと思って。──Aメロをウィスパー気味に歌ったり、声から切ない感情が伝わってきます。この曲には個人的なストーリーがあって……祖父のように慕っていた人が危篤状態になってしまって、亡くなる前に会いに行った数日後に録った曲なんです。歌詞もその方を思って書いていたので、レコーディングでは本当に感情だけで歌いました。大きなテーマとしては別れを歌っていて。もちろん恋愛での別れにも当てはまると思いますけど、誰しもが経験する別れを自分なりのフィルターを通して落とし込んでみたら、「月の裏側に行く」という表現が出てきました。──これだけ重厚なバンドサウンドの中で歌を聴かせるには、より感情を乗せることが重要になってきますよね。そういう意味では、もともと感受性爆発マシーンみたいな人間なので(笑)。感情の振れ幅が大きいところを活かせる職に辿り着けたのは嬉しいですね。歌詞を書く時、基本的にはポジティブな結論に持っていこうとは思っているんですけど、中にはちょっとダークに寄ったものもあるし。──終盤の“Grotesque Noblesse”、“Crimson”あたりは焚きつけるような強いメッセージ性を感じますが、自分に向けて書いている感覚なんでしょうか。そうですね。私は、変化を恐れるというか、安心できる場所があるとそこから抜け出せないタイプだったんです。だから、問題に気づいても何もできなかったり、見て見ぬふりをしてしまっていた。誰しも、知らない場所に踏み出す最初の一歩は勇気が要るじゃないですか。そういう気持ちを蹴り飛ばしているのかもしれないです。ライブで歌っていても、グッとギアが入りますね。──アルバムを引っさげて、10月からツアーが始まりますね。今回のツアーを通して、だんだんできあがってきたAnna像やZilqy像というものがさらに確立していくんじゃないかなと思っています。このアルバムには、私だけじゃなくメンバー全員の思いがギュッと詰まっているので。すごく密な制作期間の中で生まれたものすべてを、ライブにぶつけられるんだと思うとめちゃくちゃ楽しみです。オーディエンスの皆さんにも、進化したと感じてもらえるようなライブにしたいですね。──ファイナルはZepp Shinjukuということで。規模感が大きくなっていくことに対しては、不安より楽しみが大きいですか?不安もしっかりあります(笑)。Annaスイッチを都度都度入れながら、その不安と闘っていこうと思っています。──これから先、Zilqyのボーカリストとしてどういう存在になっていきたいですか。私はいわゆるメタルシンガーではないので、このバンドでは武器が足らないんじゃないかなと思っていたんです。でも、私だからこその武器を少しずつ見つけていく中で、それは逆に今までメタルで使われてこなかったものなんじゃないかなとも感じていて。むしろジャンルの垣根を越えて、ボーカリストとしてその武器を磨いていくしかないと思っています。あと、Zilqyはリーダーがいないので、誰かひとりが引っ張る体制ではないんですけど……フロントマンとしてバンドを引っ張らないといけない状況に至った時は、ちゃんと責務を担えるボーカルになりたいです。まだメンバーに頼ってばかりで全然できていない自覚があるし、今、自分で言いながら「大口叩いちゃったな」と思いましたけど(笑)。いつかはみんなに頼ってもらえるような、ちゃんと自立したボーカリストになりたいです。
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