──セブンス・ベガは本能的な感情のぶつけ方というわけではなく、ある程度見え方をコントロールした、作品感もあるライブの見せ方をしていますよね。シブヤ ああ、そうですね。メンバーによって見せ方が違うから成り立ってる部分もあると思うんですけど、私は完全にエンタメとしてライブを捉えていて、演者としてステージに立っている人間だと思ってます。逆に、マイマイはマイマイのままの状態で、マイマイの感情が見えるライブをしてて。それぞれ得意なことをやりながら、それでみんなが楽しいんだったらいいんじゃないかな?って(笑)。──それでいうと、ソラさんはコミュニケーションを担当してる感じですか?ソラ 無邪気系です(笑)。自分が何かすることによってお客さんの気分が上がったり、フロアをコントロールしたいですね。ライブも対話みたいな感覚でやってます。だから、「かっこいい」に全振りするんじゃなくて、楽しそうな姿を見てもらうことでお客さんに楽しんでもらう、みたいな影響を与えられたらなって。曲でめちゃくちゃ大事にしてるのが湿度なんですけど、“ワンナイト・ドライブ”は歪み、歌い方、フレーズが重なって湿度になってて(シブヤ)
サコ 逆に私はかっこいい専門でやらせてもらってるので、ライブでは絶対に喋らないですし、笑顔もたまにしか見せない。どちらかというと苦しそうな顔で弾くというか(笑)。本当は感情を出すほうが楽なタイプなんですけど、専門とは逆なので、だったら「俺を見ろ!」っていう気持ちでライブを楽しもうと思って。──個々のパーソナリティも見えてきたところで新曲“ワンナイト・ドライブ”と“南風のアイドル”について聞きたいんですが、どちらも爽やかさはありつつ所々に漂ういい意味のくどさに懐かしさも覚えました。それぞれどんなテーマで制作したんですか?シブヤ “ワンナイト・ドライブ”は元々もっと早く出す予定の曲だったんですけど、6月リリースになったのが運命だと思うくらいに6月っぽい曲なんですよね。曲でめちゃくちゃ大事にしてるのが湿度なんですけど、“ワンナイト・ドライブ”は“南風のアイドル”よりちょっと湿度が高くて──歪(ひず)みのちょっとした量だったり、歌い方だったり、フレーズだったりが重なって湿度になってて。6月を夢見ながら秋頃に書いた曲が、リリースタイミングにきれいにハマってくれましたね。
──音のイメージ先行だったんですね。シブヤ はい。“東京ラブストーリー”(2024年4月)を今書いたらどうなるんだろうという、ただそれだけの興味で書き始めて。あと、初めてDTMを使って全部書いた曲でもあって、好奇心に溢れた曲です。──DTMで曲を作るようになって、バンドアレンジにも変化はありました?マイマイ ドラムはシブカンの持ってきたフィルをそのままやるところもあれば、変えるところもあったので、新しい自分を見つけた感じはありますね。イメージを擦り合わせて、2個を1個にする作業が面白いのかもしれないです。シブヤ でも、ベースに関してはソラの作るフレーズの行き場が私はわからなくて──。ソラ 私もわからないもん(笑)。理論とか、型にはまりたくない性格なので「そこいくんだ?」みたいなベースフレーズが好きなんですよね。シブヤ だから、ソラが作ったらどう捉えるんだろう?という興味が勝ちすぎて、毎回ソラにベースのルートだけ送って「さあ、やってごらん!」って。ソラ それが楽しいんですよね、私は。音を間違えることもあるんですけど、なんとか形にしていってます。サコ 私はマイマイと似てて、私だったら出てこないだろうなというフレーズが多くて、新しい扉を開きました。あと、たまにシブカンが「自分でもどうやって弾いてるかわからなかった」みたいなこともあるので(笑)、ふたりでどこの音なんだろう?って探したりするのも結構楽しいです。
──“南風のアイドル”はどうやって作っていったんですか?シブヤ この曲は特殊な作り方をしていて、オールした朝に鮭を焼いている時にフルで思いついたんですよ(笑)。だから、あまり仕掛けがないというか。歌で曲ができる感覚が久しぶりだったから、ボイスメモに残したら「いつまででも歌えるやつだ!」っていうゾーンに入っちゃって。10分くらいあった録音をキュッとしたのがこれです(笑)。──へえ! リファレンスが明確にあるタイプの曲なのかな?とも思ったんですけど。シブヤ 全然なかったです。夏曲を作りたかったのはあるんですけど、できあがったら夏っぽくなってイェーイ!という。曲を聴いてもらうとみんな口を揃えて「いちばんテーマのわかりやすい曲」って言うんですけど、むしろいちばん変な作り方をしちゃった曲なので、変な感覚ですね。──統一感があるからだと思います。ギターの音色からコーラス、シンセ、歌詞が全部トレンディな雰囲気というか。80年代のリバイバルはここしばらく盛んですけど、この雰囲気ってなかなかなかった気がするし、今年の夏ソングはこれじゃないか?というくらいに僕はハマりました。一同 おおー!!シブヤ 嬉しいです! 私も今日この取材に来るまでずっと聴いてました。バンドを始めた時にも、80年代っぽい曲のリバイバルはやりたかったんですけど、知識がなかったんでうまくいかず諦めていて。で、気がついたらリバイバルというよりも、「80年代は一旦置いておいて」と思っていたのがいつの間にか根本になっていて、みんなで作ってきたものが形になっているというか。──うん。“南風のアイドル”はどこか90年代くらいまで網羅してる感じもあります。シブヤ 90年代も大好きで──日本の歴史が好きなんですよね。なんというか、アメリカの文化に対して、日本の中で100点の答えって出ていないんですよ。スマホだったりいろんな文化が流れてくるけど、それを100%でできたことがない気がしてて、そういうのが曲にも出てるんですよ。アメリカで流行ってたものを日本でやったら、日本語の性質上なんか違うものになっちゃった、みたいなのがめちゃくちゃ多くて。──タイムラグもありますしね。シブヤ そうなんですよ。タイムラグと日本人の心情や出来事、季節感だったりが全部関わって曲になる、みたいな。それが「日本風」と呼ばれるものだったりするのかなって思ってて。100%の再現じゃなくて、別のものになってる──そういうことをやりたいなって思います。──7月24日からの東名阪ワンマンツアー「LAYLA」も既にソールドしているなど好調な今、バンドとして先々に見据えているものも聞いておきたいです。ソラ ……「概念」だよね?シブヤ そう、概念になれればと! バンドなんですけど、セブンス・ベガというコンテンツであり、世界であり、ドラマでアニメで……人生ですね。一同 (笑)。マイマイ デカそうなこと言ってる!(笑)。シブヤ (笑)でもそういう話です、本当に。セブンス・ベガという概念があって、それにいいも悪いも、比べる対象もないというか。セブンス・ベガはセブンス・ベガでありたいと思います。タイムラグと日本人の心情や出来事、季節感だったりが全部関わって曲になる。それが「日本風」と呼ばれるものだったりするのかなって(シブヤ)