【インタビュー】日々の感情を拾い集め、誰かの隙間を埋めるかけらが詰め込まれた『ひびのかけら』はまさしくUNFAIR RULE覚醒の第一歩!

【インタビュー】日々の感情を拾い集め、誰かの隙間を埋めるかけらが詰め込まれた『ひびのかけら』はまさしくUNFAIR RULE覚醒の第一歩!

別に世の中の公約数を狙ったわけでもないし、共感に狙いを定めたわけでもない。やりたいことをやる、そのスタンスは変わらない。ただ、そう踏み込んだぐらいの浸透力を持つのがこの新作EP『ひびのかけら』だ。山本珠羽(G・Vo)の日常を曲に落とし込むドキュメンタリー性はそのままに、恋愛の葛藤や悲哀に加えて幸福も、自身の矜持を軽んじられた怒りまで歌う。もちろん、単に小手先で枝葉を広げたわけではなく、これぞUNFAIR RULEと言い切れる“誰かの彼女になっても”が生まれたように、ブレることがない幹もしっかりと太くなっている。サポートを務めていた悠瑞奈(B)が今年3月に正式メンバーとなったことも大きいのだろう。焦らず、無茶をせずではありながら、進化が凄まじい彼女たちにバンドの今と新作について聞いてみた。インタビュー=ヤコウリュウジ

諦めたからなのか、マイナスなことは考えないからなのか歌詞で言及したくなくて。聴く人がそれをどう捉えてくれるんかなって

──新体制になって約半年、よりバンドがまとまってきたと思います。山本 グルーヴは圧倒的に上がりましたね。あと、ライブをやる感覚とか、制作もそうですけど、3人でやってる感が増えました。杉田崇(Dr) それは僕も感じてます。 悠瑞奈はベースを弾いたことがない状態からサポートとしてスタートしたんですけど、成長がすごいから負けてられねえってモチベにもなってて。──悠瑞奈さんは自信がありました?悠瑞奈 なかったです。自信を努力で補うというか、これだけやったから大丈夫って言い聞かせるタイプなので。正式にメンバーになってちょっと自信がついて、3人でライブしてる感が出せるようになりましたね。──体制も整い、バンドとしてはよりエンジンがかけやすくなりましたよね。山本 私が根性論でやるぞとなった時、悠瑞奈は1回踏み止まれるタイプなんです。それは果たしていいことなのかを考えたうえでやるかやらないかを言ってくれる。それも結構デカいですね。──今作はそれぞれに持ち味が出た5曲が収録されていて、わかりやすくバンドの今が伝わる作品になっています。山本 曲の幅を広げられたというか。 “誰かの彼女になっても”“耳鳴り”は今までのUNFAIR RULEとはちょっと違った歌詞のテイストというか、素のままを出してそれを音に乗せました。私は結構ミドルバラードが好きで、“口癖”はエピソード的にも思い出があるし、メロディがすごく好きな曲です。“ポニーテール”は新しいことに挑戦していて、“後悔する前に”は、これまでなかった、幸せなバラード曲。そういういろんなUNFAIR RULEが見られるEPになってます。杉田 新しいことをやりながらも、UNFAIR RULEらしさもあったり、いろんな人が楽しめるかなと。悠瑞奈 “ポニーテール”は既にライブでやってるんですけど、他はまだ披露したことがない曲ばっかりで。どう混ざってくるかすごく楽しみですね。──メッセージの幅を広げたかったという気持ちもありましたか?山本 “ポニーテール”とかはより広がっていくように作ったんですけど、一方で「みんなに聴いてもらいたい」って気持ちを若干取っ払った部分もあって。このEPを作る時にマネージャーから「自分たちがやりたいことだけをやればいいから」って言われて、“耳鳴り”や“口癖”も入れたんです。“口癖”はもうちょい温めておこうと思ってたけど、私と悠瑞奈が好きすぎて(笑)。悠瑞奈 (“口癖”は)もともと入れる予定なかったんです。──山本さんは、20歳を境にみんなに届けたい気持ちになってきたとも話されてましたよね。山本 たぶん、それが自然にできてるんじゃないですかね。あまり意識することがなくなったので。── “ポニーテール”は鮮烈な曲でした。歌詞としては自己肯定感の低さを振り切ろうとしてるイメージを感じて。UNFAIR RULEなりの寄り添う応援ソングとも捉えられるなと思ったんです。悠瑞奈 確かに。ポニーテールを好きな男性って多いじゃないですか。でも、(女性は)なんかできないんですよ。山本 わかる!──山本さん、最近してますよね。山本 この曲を出したんで(笑)。悠瑞奈 口実がないとやりにくいよね?山本 うん(笑)。すべてをさらけ出すじゃないですか。しかも、男の人が思ってるポニーテールって単にひとつに結んだものだと思うんですけど……。悠瑞奈 (結んだところが)高い位置じゃないとポニーテールじゃないんです。杉田 それ僕も知らなくて。下のほうでもポニーテールなのかなって。山本 だからハードルは高いけど、好きな人のためならっていう。その人がポニーテールがめっちゃ好きだったんで、それで好きになってもらえるなら新しいことにも挑戦したい、みたいな。──リズムアプローチは野外フェス仕様な印象もあります。杉田 ただ、UNFAIR RULEらしさも残さないとなって思って、ドラムのビートもずっと裏打ちだけじゃなくて16ビートにアクセントもつけましたね。

──以前、「みんな変わらないためにいろんな選択をして頑張ってる」ということを話されていましたが、この曲を聴いてその言葉を思い出しました。山本 Cメロとかはポップじゃないようにしたりとか。そういうところでちょっと気づいてくれたらいいなって。──“耳鳴り”はミドルバラードかと思いきや、後半パンクロックで苛立ちをぶちまけてますね。山本 私をバンドマンとして見てくれてるのか、ひとりの女の子として見てるのかで話が変わるというか。可愛いからバンドしてるって言われるのが嫌でピアスを開けたりしてて。一般の人に言われてもなんでもないんですけど、近くにいた人から言われたので、そういう相手は尊敬もできないし。それでイライラしました。──サウンドとしてはベースも歪ませて、ドラムも攻め倒してますよね。杉田 ずっと休む間もなく、息が詰まる感じの印象で叩いてました。──お気に入りの“口癖”はどうですか?山本 その人を諦めるか、まだ追い続けるかの葛藤を書いてて。この曲は歌詞がめっちゃ好きなんです。《君は/もう/だって/きっと/なんてもう言わない》が、もう諦めたからなのか、マイナスなことは考えないからなのか。私としては、そこには言及したくなくて。聴く人がどう捉えてくれるんかなってところに委ねたいです。──そこに関して、悠瑞奈さんと杉田さんはどう捉えます?悠瑞奈 私は結局曖昧なままが続いてる気がする。どっちかがやめないと一生駆け引きが続くと思うんですけど、結局やめられず。でも、一緒にはいて。杉田 まったく一緒です。曖昧な感じがします。

──“誰かの彼女になっても”は王道ロックで恋の未練を断ち切る曲です。山本 間口を広げたくて、私たちを知らない人にも届いてほしいっていう狙いもありました。──クライマックスのコーラスがアンセミックで印象的です。最初、1曲目で作品を終わらそうとしてるのかなと思ったぐらいなんですよ。悠瑞奈 ストーリーがありますよね。──それぐらい1曲の満足度が高いし、今のUNFAIR RULEを代表する曲を挙げるならば、この曲ですよね。山本 それもイメージしてました。──ただ、昔だったらそんなことは考えなかったですよね。山本 割り切ったというよりかは、やれるようになったというか。寄せすぎず、自分ららしさを残しながらやるのが結構楽しくて。それが仕事になったとかじゃなくて、興味に変わった。やってみたいことが今これなだけで。

──そして、締めくくりは柔和なバラード“後悔する前に”。山本 「珠羽ちゃんの幸せを願ってます」ってDMをくれる子が多くて。私も不幸が落ち着いて幸せな瞬間も増えたから、ファンの人が余計な心配をせんでもいいようにもだし、あまり幸せな曲を書けてなかったから、挑戦というか。弾き語りのEP(『20』)では幸せな曲を2曲書いたんですけど。──“告白”と“はんぶんこ”ですね。山本 そこで段階を踏めてなかったら、今回この曲は入れることができなかっただろうなって思います。──メジャーデビューして1年ぐらい経ちましたけど、目指していきたい未来が広がったりもしてますか?山本 それがバーンって見えるバンドも多いと思うけど、私らは私らのペースで徐々にというか。めっちゃいい速度やし、それをファンの方も理解して一緒についてきてくれてるし、いろんなことに挑戦できてるので、バンドとしてわかりやすい目標や夢も明確にはなくて。明確に決めた場合、そこで終わっちゃう気もするし、その道しか見えなくなっちゃう気がして。今の状況でできる最大限をこれからもずっと出せて、長く続くバンドになればいいなって思うぐらいですね。その中で武道館や東京ドームに立てたりできていけばいいなって思います。
このインタビューは、10月30日に発売された『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にも掲載中!
JAPAN最新号、発売中! BUMP OF CHICKEN/別冊ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025/星野源/あいみょん/Mrs. GREEN APPLE/Official髭男dism/WANIMA/宮本浩次/TOMOO/マルシィ/BMSG 5周年
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