──“名残”はエレクトロのダンスチューン。これがまたとてもいい曲で。コアくんは、すごくいい子でかわいくて、でもラップめちゃくちゃかっこよくて。この曲(“Empire feat. Novel Core”)のコラボ相手としてコアくんがいいんじゃないっていう話になった(竹中)
沖 曲を作っていく中で、シティな感じ、夜のハイウェイを感じさせるポップスが欲しいなと思って。こういう曲をずっとやりたかったんですけど、前作の時は具現化できなくて。このタイミングでメンバーが「やってもいいんじゃない?」って言ってくれたからチャレンジできました。この曲はかなりお気に入りの曲です。
圭吾 これ、ベースを作るのにもいちばん苦戦しました。スラップしたり、ちょっとグルーヴ感を出したりしつつも、機械的なハキハキした感じも出したくて、生と機械を繋ぐ役割を僕がしているのかなと思います。
ねぎ 音作りにいちばんこだわったのがこの曲ですね。機械的であまり人間味が前には出ないんだけど、でも人がやってる感じを出せたんじゃないかな。僕もこの曲はすごく気に入ってて、レコーディングも楽しかったです。
竹中 すごくスタイリッシュで、3分弱の短い曲なんだけど、歌なしのトラックだけで聴くとめちゃ洋楽っぽいエレクトロなんですよね。なのに歌詞はザ・日本語っていう雰囲気で。和と洋がうまく調和した曲になっていて。
──この曲も歌詞は山田さんが書かれていますけど、どの曲でどちらが歌詞を書くかというのは話し合って決めてるんですか?
竹中 曲が全部できてから決めます。新曲7曲あるから、じゃあ今回は2曲くらい海斗くんが書く?みたいな。俺が書きたい曲もあったりするから、「じゃあこの曲はお願い」って任せるのが多いですね。海斗くんは自分の恋愛の曲ばっか書いてますけど(笑)。
山田 いや、この曲はたまたま重なってるだけで実話じゃない(笑)。曲でイメージしただけやから。
──山田さんの作詞は実体験がベースにあったとしても、作品として、物語として完成しているように思います。
山田 小説っぽく書きたかったんですよ。洋楽っぽいサウンドにあえて日本語のきれいな部分を生かして作詞したいなって思って。で、夜の街のイメージの曲やったんで、背景を妄想しながら物語を組んでいったら、自分の話みたいになっちゃったっていう(笑)。
竹中 《疎ましい》とか、普通あんま言わんよね。冒頭の《莫迦みたい》っていうのも、「馬鹿」とか「バカ」じゃないもんね。ほんまに日本語で遊んでる感じがする。
──“Empire feat. Novel Core”はNovel Coreとのfeat.曲ですけど、Novel Coreの対バンツアーに出たのが最初の出会いですか?
竹中 「Novel」ってエゴサしたら出てくるからNovel Coreのことは知っていて、親近感を持っていたんです。初めて会ったのはプライベートでしたけど、対バンに誘ってもらって。年下なんですけど、ほんとにすごくいい子でかわいくて、でもラップめちゃくちゃかっこよくて。Novel同士でコラボしたいねっていう中で、今回、この曲のコラボ相手としてコアくんがいいんじゃないっていう話になって。
圭吾 僕、それこそ『高校生RAP選手権』時代のCore-Boyの時から見ていて。すごくカリスマ性のある子やなって思っていたので、初めて会った時は芸能人に会えたみたいな気分だった(笑)。その時、雄大相手にフリースタイルも披露してくれて。めっちゃ感動しましたね。
竹中 僕もフリースタイル好きなんですよ。さすがに足元にも及ばなかったけど(笑)。韻が踏めなくてね。でも意外と即興でバンバンやれて楽しかったなあ。
──曲はどんなふうに作っていったんですか?
竹中 海斗くんが作ってたトラックを掘り起こして採用して。コアくんには自分のラップのフロウを作ってきてもらって。今回アレンジでTeddyLoidさんに入ってもらったのもよくて、より曲の攻撃力を増しましたね。この曲は世の中に対してメスを入れるというか、切り込む感じの攻撃的な歌詞にしたかったので。
ねぎ 完成した時、ほんと鳥肌が立ちました。自分たちのバンドの曲なのに。ライブで雄大くんが歌うのも楽しみ。
竹中 コアくんパートをどうしようかね。練習したらできそうだったんですけど、「王者降臨」みたいなパートがあるんですよ。そこに間に合うかな、みたいな。まあちょっと考えます(笑)。
──アルバムラストに収録されているのが“ODYSSEY”で、これはまさに結成10周年を記念して作られた曲ですよね。バンドの紆余曲折、いろんなことがあった歴史の中で、竹中さんの作詞も《もう何年も命削って心燃やして》というところとか、すごく熱く胸に刺さります。僕の仕事は夢を叶えることなので。これからの10年もバカみたいに大きい夢を追っていこうと思います(竹中)
竹中 10年歩んできたNovelbrightが自分たちに向けて作った曲で。メンバーもだいぶ変わったし、バンドとして歩んできている中では、今でも悔しい気持ちになることのほうが圧倒的に多くて。その中でもなんとか続けてきた10年という節目で、自分たちの物語を曲にしたいと思ったんですよね。自分たちのバンドの物語を歌にしたのって、これまで1回しかなかったんですよ。“時を刻む詩”っていう曲を作った時、雑草バンドから、やっと音楽でメシが食えるラインに乗るくらいのタイミングだったから──“時を刻む詩”は、自分たちとファンとの曲というイメージでしたけどね。でも、自分のバンドのことを頻繁に歌にするのはなんか違うなと思っていて。“時を刻む詩”以降は作ってなかったんですけど、今回は10年やってきたというひとつの節目なので。これからもそんな頻繁に作ることはないと思う。
──2024年から次のディケイドが始まって、まさにその狼煙のようなアルバムになりました。次の10年については、どんな未来を思い描いていますか?
沖 それこそ1年前も、今の自分の気持ちは想像できなかったけど、いろんな人と出会っていろんな経験を積んで、価値観がどんどんいい方向に変化していったんですよね。自分的にはどの時代の気持ちも全部本物やったと思うけど、10年後の自分がどの時代から見てもいちばんいい状態であるように、真摯に音楽に向き合いたいなって思っています。
山田 僕も10年後のことはわかんないですけど、楽しくやれてたらいいですね。いろいろ目標はあれど。
圭吾 でも10年あれば海外にも進出してると思うし、ドーム級のバンドになってると思っているので。ただいい曲を作ってリリースするだけじゃなくて、ファンと一緒に夢を見てどんどん大きくなっていけるのはこのバンドの強みだと思うんですよね。
ねぎ うん。日本を代表するバンドになっていたいし、ってことは日本を背負って世界進出するっていうことなんですけど、自分も日本を代表するドラマーになっていたいですね。
竹中 どんな仕事でも、20代後半から30代っていちばん頑張る時期だと思うんですよね。だからこの10年はほんとに仕事頑張ろうと思っています。僕の仕事は夢を叶えることなので。バカみたいに大きな夢を口にしてきて、その夢が叶うこともあったけど、ほんまにバカみたいな夢やなって痛感させられたこともあった。でも現実味があることだけをやっていこうとはまったく思わないんですよ。これからの10年もバカみたいに大きな夢を追っていこうと思っています。もう、日本を代表するバンドになるとか世界に出ていくとか、それはもう当たり前のことで。たくさんの人に愛される──そのたくさんっていうのは日本でっていうことじゃなくて、ほんとに全人類の中で、たくさんの人に愛される音楽をやりたいと思っています。
このインタビューの完全版は、3月29日(金)発売の『ROCKIN’ON JAPAN』5月号に掲載!
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ヘア&メイク=MOMOKA MATAYOSHI(Superbly Inc.)
スタイリング(竹中雄大、沖聡次郎、ねぎ)=Keisuke Matsuoka