【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

たとえ5万人6万人のお客さんを前にしたとしても、1人対6万人ではなく、「1対1」が6万回という捉え方をするのがロックだと感じるんです

──前作『No Pressure』は様々な葛藤を乗り越え、自由に音楽に向き合う喜びを表現した作品でした。今作にもそれが踏襲されながら、より自信を感じさせるアルバムになっていると感じます。

「そうですね。2022年、2023年はそれこそフェスだったり、いろんなステージに立たせていただいて、ワンマンライブもどんどん規模を拡大して、全国を満遍なく回っていく中で、自分に求められているものがちゃんと見えてきたし、『今、こういうことをやりたい』と思うことがちゃんと表現できるようになってきて。歌唱法であったり、楽曲のプロデュース面でのアイデアもそうですけど、やりたいことがあっても正直、まだ自分の技量では難しいかなっていうのが『No Pressure』の時期で。そこからもっと開けたところで活動をしていく中で、スキルもついてきたし、ハウスバンドにもTHE WILL RABBITSと正式に名前がついたことで──今回は2曲、ラビッツとも曲を制作していますが──できることがすごく増えた気がしています」

──サポートという形ではなく、バンドに固定の名前をつけて一緒に活動をしていくと定めたのはどういう思いからだったんですか?

「これは僕の性格的な話になってしまいますが、どのセクションの人でも『スタッフ』とひとくくりにできないんです。一人ひとりみんな違う人間だし、得意なことも性格も違う。その『1対1』を人数分やってこそ、コミュニケーションが成立するというのが自分の中にはすごくあって。なのでバンドもサポートという位置付けにしてしまうとモヤモヤするんです。みんなと個々で繋がって、それぞれに得意なことや好きなものを知ったうえで一緒にいいものを作っていきたい。全員に『自分じゃなきゃだめだ』と思っていてほしいんです」

──今作はCoreさんの「ロック」な部分がすごく表現されているアルバムだとも思うんですが、今の話をうかがっていると、人を巻き込んで新しい音楽を作っていくんだという、そのアティテュードこそがロックだという気がしてきますね。

「そうですね。ロックって、僕の中では圧倒的に『1対1』のマインドのものなんです。それこそフェスとかで、たとえ5万人6万人のお客さんを前にしたとしても、1人対6万人ではなく、『1対1』が6万回という捉え方をするのがロックだと感じるんですよね。そういうカルチャーだと思うし、それはすごく大事にしたいと思います」

──アルバムは “I AM THE”から始まります。これはもうNovel Coreによる華麗なるボースティングとも言える曲で。

「正真正銘、自分にしか歌えない曲を1曲目にするべきだと思っていたので。そもそも自分はヒップホップの畑から出てきて、それこそZeebraさんだったり、般若さんの世代のいろんな方からヒッップホップマナーを学んできたというのが始まりなので、その自分の立ち位置からしか歌えないものを、ど頭に置きたいなと。“I AM THE”って強いタイトルをつけたのもそうだし、最後《Fools, Trouble, iCoN, I AM THE ONE…》と、1作目のアルバムタイトルからの時系列も含めて、自分にしか歌えないことを歌おうっていう思いが強かったです」

──続く“No Way Back”はまた明確に「ここから始まる」という意思表明がなされたスリリングなロックチューン。

「『絶対に引き返さない』という覚悟の曲を作らないといけないと思っていました。というのも、自分はすごく音楽ルーツが複雑で、ヒップホップの文脈を通ってきているけれど、その前にはボン・ジョヴィレッド・ツェッペリンといったハードロックから音楽に入っていたり、当然ポップスも洋楽邦楽問わず通ってきているし、さらにはクラシックも通っていて、なおかつボーカロイドも。そんな複雑な音楽遍歴を自分の音楽として全部素直に出せば、必然的にジャンルレスになってしまうんですよ。既存のものに当てはまるものがない。でもその当てはまらないものを突き詰めて、いずれは自分みたいな存在がレアケースではなく、大きなフェスでみんなが大合唱をしているという風景を作りたい。日本の音楽シーンのど真ん中にまで、自分の音楽をもっていくぞっていう覚悟を歌いたい。その思いから作った曲でした」

【インタビュー】Novel Coreが新作『HERO』をサプライズリリース! 全曲解説でひもとく、今芽生えた覚悟と自信、そのすべて

ジャンルやカテゴライズやキャリア、どうしても何かにくくられてしまう瞬間がある。自分はそういう垣根をどんどん壊していく存在でありたい

──好きな音楽ジャンルがバラバラな観客が集まったとして、みんなが同じ音楽に心を震わす、歌える、心をひとつにできる。というところがNovel Coreとしての理想ですか?

「完全にそうですね。『いいものはいい』っていう世の中に変えていきたいし、ジャンルやカテゴライズやキャリア、それこそ年齢も性別も職種も人種も信仰も、全部飛び越えて楽しめるのがそもそも音楽だったはずなのに、どうしても何かにくくられてしまう瞬間があるというのはすごく感じるんですよね。自分はそういう垣根をどんどん壊していく存在でありたいと思っています」

──ひとつのジャンルを突き詰めるというのも素敵なことだし、Coreさんもそれはやってきたことだと思うんですが、特にヒップホップはそのジャンルへのこだわりも強いし、ファンダムも含めてそこをボーダレスにしていくというのは、非常に骨の折れる作業じゃないかなとも思います。

「まさにそうで。自分に『壊していきたい』という感覚が芽生えたのも、ヒップホップのシーンにいた時期なので。ヒップホップシーンにいた頃は、ある種のムラ社会感を体で感じていました。実際に『J-POP』や『J-ROCK』という言葉を『ネガティブな要素』として使う人たちがマジで多くて。でもそれって、突き詰めるとただ『知らないから』だったりするんですよ。飛び込んでみるとみんな意外と好きだったりするし、日本ではそれがむしろ自然な流れだと僕は思っているから、そういう架け橋になれたらすごくいいなって思っています」

──“カミサマキドリfeat. Takuya Yamanaka(from THE ORAL CIGARETTES)”も、激しいロックサウンドとアイロニカルな歌詞が耳を惹きますが、コーラスの遊び心には思わずニヤリとします。

「そうですね。花譜ちゃんが入っています」

──この楽曲で、山中拓也さんをフィーチャリングした経緯は?

「やまたくさんって、僕にとってはSKY-HIさんと同じくらい、人生のドラマにおいて重要な登場人物なんです。メジャーデビューの“SOBER ROCK”でギターを弾いてくれたり、『A GREAT FOOL』の表題曲のプロデュースをしてくださったり、節目節目で力をお借りしてきました。そのやまたくさんに、今回は歌唱で参加してもらうというのが自分としてはマナーというかルールだったんです。なので、サウンド的には自分のルーツが滲み出るものにしたいなと思っていて、実は意外とボカロ曲のマナーに従った曲作りをしています。トップラインの作り方だったり、1番と2番で構成がまったく同じだったり、ラップが少し混ざってくる感じや、お客さんとの掛け合いの要素なんかも含めて。そのイメージを生かしてラビッツに細かく構成やコード進行を指示しながら、一緒に作っていったという感じですね」

──拓也さんに歌唱のオファーをしたとき、どういう反応でした?

「結構な長文のお手紙をオファーとともに送らせていただいて、それを読んだうえで快諾してくださったんですけど、レコーディング当日は、やまたくさんのパートは15分くらいで終わって、『すごっ!』て(笑)。そもそもの話で、やまたくさんを呼ぶ曲にボカロルーツのニュアンスを出そうと思ったのも、個人的にTHE ORAL CIGARETTESの楽曲自体にボカロ色を感じる曲が多くて、すごく親和性が高いと思っていたからなんですよね。なので、この曲もスンっと馴染んでくれるといいなあと思ってたんですけど、すごくスムーズに歌録りが終わって『楽しかったあ、またね』って去っていきました(笑)」

──これはまたライブで聴くのが楽しみになる曲です。

「“No Way Back”もそうですけど、この2曲はフェスで歌いたい曲ですね。“カミサマキドリ”が大合唱になる状態をつくりたいんです。冒頭の掛け合いの部分とか、あえていちばん皮肉めいた歌詞パートをお客さんが歌うように作っているので。《神様にでもなったつもり?》とか、それをファンが歌っているのを想像すると、めちゃめちゃ楽しいですね」

──あと、先行でリリースされた“RULERS”はTVアニメ『キングダム』第5シリーズのエンディングテーマとして書き下ろされたものですが、Ryosuke“Dr.R”Sakaiさんとの楽曲制作はどのように?


「『キングダム』の話があって、とにかくまずはセッションしてデモを作ろうと。ちょうどツアー中だったのですごく忙しい時期だったんですけど、2日間だけスケジュールをこじ開けて、Sakaiさんにも2日間だけスケジュールをもらって短期間で作った曲でした。自分もそうですが、Sakaiさんも『キングダム』ファンだったんですよ。ふたりで『今回のシーズンなら、たぶんこういう感じだね』って。テーマとしては、正義vs悪という構図ではなくて、ふたつの違う正義がぶつかったときに、そのどちらかが悪として捉えられてしまうというような。そういうのをヒントにしながら歌詞を書いていきました。とてもポジティブなマインドで作れた曲でしたし、ふたりとも終始テンション高かったですね」

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