オレンジスパイニクラブ、初の全国流通盤が映すバンドの現在を語る

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詞やメロディがいいので、曲を聴いて最初に入ってくるのが歌であるべきかなと(ゆっきー)


――他の4曲は今回初収録で、ユウスケさんが手掛けた“37.5℃”がリード曲です。ナオト もう、聴いた瞬間めっちゃいいなって一発で思って。ゆっきー スタジオで合わせた時からもうこの曲(がリード)だなっていう感じでしたね。ユウスケ これまでのリードは全部ナオトが作った曲だったし、ざまあみろって感じですね(笑)。嬉しいです。この曲、最初はツービートだったんですよ。――そうなんですか。微熱で寝込んでいる時の曲なのに?ユウスケ ですよね。本当にやめてくれって3人にも言われました(笑)。ナオト (テンポが)速い曲だと楽器もガンガン鳴らすじゃないですか。だから、せっかくメロディがいいのに速くしちゃうのはもったいないなと思って。ユウスケ いや、逆にゆっくりにすればとりあえずしっくりこない? だからメンバーみんなビビってるというか、確実な方向に持って行きたいんだろうなって思ってた。――曲を聴いた限りではおふたりの作風はわりと近いと思っていたんですけど、考え方は結構違っているんですね。例えば今回のアルバム、イントロがない曲が多いなと思ったんですけど――。ナオト それは僕が(イントロが)あまり好きじゃないからですね。せっかちなのか、歌早く入んねえかなって思っちゃうんですよ。ユウスケ (ナオトは)飯屋行ったら早く食べたいっていうタイプだからね。俺は別にそんなにイントロ嫌いじゃないですね。なんならアウトロを短くしたいタイプで。ナオト 僕は逆にアウトロは長く作る癖ありますね。やっぱり飯を食い終わったあとはできればちょっとゆっくりしたい。ユウスケ あ~、俺はさっさと会計済ませちゃうなあ。やっぱり食べ物に性格は出るね。――プレイヤー目線でこだわったポイントを語っていただきたいのですが。ゆりと ドラムはフィルとか全然使ってなくて。人によっては単調と思うかもしれないですけど、僕はそれこそがめちゃくちゃカッコいいと思ってて。昔はシンバルばっかガシャガシャ叩いてたし、でっかい音出せればいいやって感じだったんですけど、今は1個ずつビートを丁寧に鳴らしたいと思ってます。ゆっきー 俺もあんまり余計なことはしてないんですね。やっぱり詞やメロディがいいので、曲を聴いて最初に入ってくるのが歌であるべきかなと。まあスラップもしちゃってますし、ちょっとミスっちゃってますけど(笑)、そういうミスも俺なのでそのまま……。ユウスケ あれ? 録り直してなかった?ゆっきー ……3回録り直しました(笑)。ナオト (笑)。俺もコードに関しては(リズム隊と)同じ意識ですね。歌や曲調を引き立てる感じで弾いてます。ユウスケ 歌は、前みたいにあんまり叫ばなくなりましたね。ちゃんと言葉を聞かせたくて。あと叫ぶのはライブでやればいいかなって思うようになりました。そのほうがライブならではみたいな感じでカッコいいのかなと。

あの頃は「どうせ」って思ってたことも、今なら実現できるかもしれない。目標のために頑張ろうと思えるようになった(ナオト)


――では歌詞について伺いたいのですが、全体的に「あの頃ほど無邪気ではいられない」「とはいえ割り切れない気持ちもある」という葛藤が歌われている曲が多いように思います。ユウスケ この1年で環境が大きく変わって、たくさん変化があったんですよ。曲作りに対する向き合い方もめちゃくちゃ変わったので、多分それが出てるんだと思います。こいつ(ナオト)もそういう変化を歌にしてると思うんですよ。ナオト うん、そういう感じかも。ユウスケ あと今年東京に出てきたばかりなんですけど、自分としてはそれもでかかったですね。“東京の空”はまさにそれを曲にしてて。……恥ずかしいですね、「曲にする」って言うのって(笑)。ゆりと かっこいいよ(笑)。――その変化というのは?ユウスケ これまではお客さんが0人のこともあったから「どうせ客いねえし、自分たちのやりたいようにめちゃくちゃやっちゃおう」っていう考えだったんですけど、今はその辺りの意識がもう全然違って。お金を払って来てくれてるんだから、何がなんでも楽しんで帰ってもらいたいと本当に思ってますね。ナオト 去年の今頃だったら、こうしてインタビュー受けることなんてなかったし、ラジオに出ることもなかったし。責任感とまでは言わないですけど、目に見えて意識が変わったのでそれを曲にしました。ゆっきー そうですね。やっぱり事務所にもついてもらえるようになって、たくさんサポートしてもらってますし、ちゃんとバンドをやっていかなきゃなっていう気持ちを曲にしました。ユウスケ お前は1曲も書いてないだろ(笑)!――(笑)。演奏の中にパンク魂を残しておくのと同じように、ピュアな感情を失いたくないんだっていう気持ちが歌詞にも表れていますよね。その願いはバンド活動にも共通する部分であって。今のみなさんにとってバンドは仕事だけど、バンドが楽しいって思える気持ちを失くしてしまってはいけないというか。ユウスケ そうですね。今、自分たちがやりたいことをちゃんと提示できていて……というかむしろ前より正直に言えるようになったんですよ。こういうことがやりたいとか、こういうところでライブがしたいっていうことを。――自分たちの音楽を届ける相手の存在が見えるようになったからこそ、ビジョンが明確になったのかもしれないですね。ユウスケ そうですね、やっぱりお客さんに動かされてる部分はあります。ナオト ザ・童貞ズの頃からぼんやりと「こういうことをやりたい」みたいなことは考えてたんですよ。ただ、あの頃は「どうせ」って思ってたことも、今ならもしかしたら本当に実現できるかもしれない。目標のために頑張ろうと思えるようになりましたね。
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