wacci「あなたの日々」の集大成『日常ドラマチック』を語る(2)
“君に不採用”は、もう好きにしてってみんなに投げた感じです。始ちゃんも、すごくいろんな音を入れてくれたよね(橋口)
ああ、もう思いついたものは全部入れちゃおうって(笑)(因幡)
──新曲の中では、映画『四月は君の嘘』の挿入歌になっている“君なんだよ”が、すごくいい曲だと思いました。懐かしくて切なくて、フリーソウルっぽい洗練されたサウンドで、wacciの魅力がまた花開いたなって。
橋口 おお、ありがとうございます。僕もそう思います(笑)。
──この曲が出来上がって、みなさんもすごく手応えがあったんじゃないかと思うんですけど。
小野 そうですね。最初に橋口が弾き語りのデモを持ってきてくれた段階から、実はイメージはそんなに変わっていなくて。みんなそれぞれ、本当に自然に弾いたっていう感じです。そしてバンドで合わせたものを、アレンジャーの島田昌典さんにお渡しして、さらに整理して、ちょっと味つけをしてもらって。
──この曲から“Weakly Weekday”に続く流れが、最高に気持ちいい展開でした。
横山 ありがとうございます。
──曲順も会議で決めたんですか?
横山 小さい紙にタイトルを1曲ずつ書いて、並べ替えたりしながら、みんなで決めていきました。
橋口 そういえば“君なんだよ”から“Weakly Weekday”への流れって、横山がすごくこだわってた気がするけど。
横山 曲順会議の前に、自宅で、今あるwacciの音源を全部iPodに入れて、いろんなパターンで聴いていたんです。最初その2曲はその並びにするつもりは全然なくて、偶然その流れで再生された時に「なんだこれ、超いい!」って思って。“Weakly Weekday”ってけっこうアゲアゲな曲なんですけど、“君なんだよ”からの流れで聴くと、もともとの曲が持っていた、切ないラブソングのような雰囲気が増して、また新たな魅力が発見ができるなあって思ったんです。なので会議ではこの並びを推させていただきました。
──さらに新曲の話を訊きたいんですが、“君に不採用”も、wacciらしい遊び心が満載の、非常にユニークな曲。アルバムのアクセントになっていて、ファンキーなホーンが入ってたり、和音階が入っていたり、ギターロックでもあるし、エレポップでもある。この曲はどうやってできたんですか?
橋口 まず「君に不採用」っていうテーマが浮かんで、そこから作っていった曲です。僕、就職活動では50社受けたんですけよ、新卒で。もう本当に辛かったです(笑)。その時にふと、恋愛も似たところがあるなって思って。“まっぴら!”とか“Weakly Weekday”とかは、僕は「のび太系ソング」って呼んでいて、男が情けなく女の子に振り回される、でもその子への気持ちは強く持ち続けてるっていう雰囲気の曲。で、この曲もその感じでいけるなあって。あまり頭で考えずに作っていって、とりあえずサビで転調だけしとこう、みたいな(笑)。今までは、ある程度最初の段階でアレンジのイメージができてたりするんですけど、この曲に関しては、もう好きにしてって、みんなに投げた感じです。始ちゃんも、すごくいろんな音を入れてくれたよね。
因幡 ああ、もう思いついたものは全部入れちゃおうって(笑)。最初のデモの弾き語りの感じとは印象がまったく変わりました。最初のデモではほとんどワンコードで暗〜い感じで歌って、サビではじけるみたいな曲だったんですけどね。楽しかったです。
特別なことを歌うんじゃなく、誰のもとにもあることだけど、誰も言葉にできないような気持ちを歌う。それをひたすら実直に3年半やってきた(橋口)
──そして、アルバムの最後を飾るのが、これまた新曲なんですけど、アルバムに先駆けて最新シングルとしてリリースした”歩み”。これはもう、明確にwacciの第2章ですよね。
橋口 もうまさに。だからアルバムの最後に入れたんです。“大丈夫”で始まって、“歩み“で次にいく。これまでの3年半で、叶ったことも叶わなかったこともありましたけど、バンドをやっててよかったって思うことがたくさんあったし、wacciを通じてたくさんの出会いもあって、まずはそういうところを胸に刻んだ上で、大きな一歩を踏み出していこうという思いがありました。ただ単に「前を向いて歩いていくぞ」っていう歌じゃなくて、成長の過程というか、自分たちが歩いてきた道を確認して、また歩き出そうっていう歌にしたかった。それがこのタイミングで作れたことが嬉しいです。
──この3年半で叶わなかったこととは?
橋口 えっと、僕らには同じ事務所にすごい先輩がいるんですよ。
──それは、いきものがかりのこと?
橋口 はい。この人たちの背中ってすごく大きくて。自分たちも曲を出して、ライブで歌っていくっていう仕事を選んだ以上、やっぱりもっと結果がついてこなくちゃいけないって純粋に思っています。尽力してくれているまわりのスタッフに対しても、やっぱり、どこか後ろめたさみたいなものが、作品を1枚出す、ライブを1回やるごとにあったんです。どうしてもっと結果につながらないのかなと。ただ、自分たちがやってきた音楽っていうのは、伝わりづらいところもあると思うんですよね。瞬発力というか、突出した、何か起爆剤になるようなものがあって、すぐに目に止まるようなタイプのバンドではないですから。面と向かって音楽を聴いてもらって、歌詞を耳に入れてもらって、歌の世界に入ってきてもらって初めてわかってくるwacciの良さってたくさんあるはずで。ただ、そこがなかなか伝わらないなっていうもどかしさが、この3年半ありました。だけど、ずっと信じてやってきたからこそ、その入り口が見えたかも、と思えたこともあって。それが”大丈夫”という曲で。そして今回のアルバムは本当にwacciの良さが伝わる作品になったと思うので、もっともっと知ってほしいなって思うんですけど。
──そのもどかしい思いがまた、今後の活動の原動力にもなるのでは?
橋口 うーん。いや、まずは、このアルバムを売ります!っていう気持ちですね、今は。このアルバムをたくさんの人に届けることが、すべてが報われる方法なのかなと。だからもっと、「深く入ってきてくれたら、こんなにいい曲、いい歌があるよ」っていうのを、ちゃんとアルバムを引っさげて、売って、伝えていかなきゃなって思っています。
──ところで、今回の『日常ドラマチック』というタイトルは、橋口さんが考えたんですか?
橋口 僕が歌詞を書いているから、僕が決めた方がいいのかなって思って、そこはみんなも一任してくれたので。ただ、客観的にどういうのがいいかっていうのは、僕も意見がほしかったので、50パターンくらいの中からみんなに選んでもらったんです。「この中から3つ選んで」って言って、全員から共通して挙がったのが『日常ドラマチック』だったんですよ。
──そこは意見が割れなかったんですね。アルバムへの思いが全員同じだったということでもある。
橋口 僕らは、日常という枠の中で湧き起こる気持ちを歌っていきたいというのが常にあって。映画やドラマの中では劇的なことが起こりますけど、自分の日常の中にはそんな特別なことなんてなくて、明日仕事に行きたくないとか、上司に叱られてムカツクとか、失恋しましたとか、そういうことじゃないですか、日常って。でもそれってそれぞれ、その人にとっては、どんなドラマよりどんな映画より大事なことだし、すごく心に刺さることだったりするわけですよ。だから、日常生活の気持ちを歌うっていうことは、何よりも強い力を持つんじゃないかと思います。その人と一緒に楽曲が育っていくし、日々一緒に歩いていける歌になるはずだし、それはもうwacci結成当初から思っていたことで。特別なことを歌うんじゃなくて、誰のもとにもあることだけど、誰も言葉にできないような気持ちを歌おうっていうコンセプトがあって、それにひたすら実直に3年半やってきて、これだけの曲数がたまりました、どの曲もあなたの日常のどこかを歌っていると信じています、それが『日常ドラマチック』です。って、そんな感じですね。
ミュージックビデオ
リリース情報

『日常ドラマチック』
2016年8月17日(水)発売
期間生産限定盤:ESCL-4657 / ¥3,300(税込)※「ワチ公とゆかいな仲間たち」イラスト仕様
初回生産限定盤A(CD+DVD):ESCL-4652~4653 / ¥3,500(税込)
初回生産限定盤B(2CD+DVD):ESCL-4654~4656 / ¥4,000(税込)
通常盤:ESCL-4658 / ¥3,000(税込)
収録曲:
1.大丈夫(TBS 系 木曜ドラマ劇場『37.5°Cの涙』主題歌)
2.リスタート(TBS系 火曜ドラマ『東京スカーレット~警視庁NS係』オープニングテーマ)
3.キラメキ(フジテレビ“ノイタミナ”アニメ『四月は君の嘘』エンディング・テーマ)
4.東京~Album Mix~(TBS系 月曜ミステリーシアター『隠蔽捜査』主題歌)
5.君なんだよ(映画『四月は君の嘘』挿入歌)
6.Weakly Weekday(TBS系TV『はなまるマーケット』10月クールエンディングテーマ)
7.夏休み(NHK ・BSプレミアム ドラマ『ダブルトーン~2人のユミ~』主題歌)
8.晴れるから
9.会いにいくよ(映画『スープ~生まれ変わりの物語~』主題歌)
10.君とシチューを食べよう(『ハウスのシチュー』CMソング)
11.羽田空港
12.君に不採用
13.まっぴら!(NHK BSプレミアム『七人のコント侍』エンディングテーマ)
14.変身
15.歩み(テレビ東京系ドラマ24『侠飯~おとこめし~』エンディングテーマ)
16.大丈夫~Acoustic Studio Live ver.~(期間生産限定盤のみ収録)
初回生産限定盤A / B DVD:
※“大丈夫”Music Video、“大丈夫”アコースティックバージョン撮り下ろしスタジオライブ映像、 今作アルバムのレコーディング風景を収録
初回生産限定盤B CD:
1.君なんだよ~公生とかをりの演奏ver.~(映画『四月は君の嘘』挿入歌をストリングスとピアノでアレンジしたバージョン)
2.キラメキ~公生とかをりの演奏ver.~(フジテレビ“ノイタミナ”アニメ『四月は君の嘘』最終回にてオンエアされたバージョン)
3.誰ニモマケズ("DANCE&MUSIC 熱血学園ドラマ『押忍!!ふんどし部!』”主題歌)
4.さかな
5.ふわり
Bonus Track wacci荘のCMソング
※2016/4/24 @SHIBUYA CLUB QUATTRO
ライブ情報
1st Album『日常ドラマチック』リリース記念イベント
2016年8月17日(水) タワーレコード横浜ビブレ店内 イベントスペース
2016年8月19日(金) 名古屋パルコ西館 1F イベントスペース【愛知】
2016年8月20日(土) 関西テレビ放送 カンテレアトリウム【大阪】
ワンマンツアー「関東全県秋ツアー 2016 秋」
2016年9月3日(土) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心【埼玉】
2016年9月11日(日) 前橋 DYVER【群馬】
2016年9月19日(月・祝) 水戸LIGHT HOUSE 【茨城】
2016年9月22日(木・祝) Live House浜松窓枠 【静岡】
2016年9月24日(土) club Lizard YOKOHAMA 【神奈川】
2016年9月25日(日) 甲府KAZOO HALL 【山梨】
2016年10月1日(土) 宇都宮HELLO DOLLY 【栃木】
2016年10月2日(日) 柏DOMe 【千葉】
2016年10月8日(土) duo music exchange 【東京】
※3歳未満入場不可
※学生・園児キャッシュバック:当日会場で学生証、身分証明書を提示された方は現金¥500キャッシュバック
wacci荘最速先行:2016年7月18日(月・祝)21:00~2016年8月2日(火)13:00
当落発表:2016/8/6(土)12:00
入金期間:2016/8/6(土)12:00~2016年8月14日(日)23:59
ワンマンライブ「360度ワンマンライブ」
2016/9/10(土) 名古屋 ell FITSALL 【愛知】
2016/9/15(木) OSAKA MUSE
※3歳未満入場不可
※学生・園児キャッシュバック:当日会場で学生証、身分証明書を提示された方は¥500キャッシュバック
wacci荘最速先行:2016年8月3日(水)10:00~2016年8月16日(火)13:00
当落発表:2016年8月20日(土)12:00
入金期間:2016年8月20日(土)12:00 ~ 2016年8月23日(火)23:59
ワンマンツアー「あっち、こっち、そっち、わっちツアー 2016-2017 冬」
2016年11月13日(日) 藤原洋記念ホール 【神奈川】
2016年11月19日(土) Kobe SLOPE 【兵庫】
2016年11月20日(日) SOLE CAFE 【京都】 ※アコースティック特別編成!!
2016年12月4日(日) 札幌スクールオブミュージック&ダンス専門学校 【北海道】
2016年12月11日(日) 仙台MACANA 【宮城】
2016年12月17日(土) X-pt. 【高知】
2016年12月18日(日) CRAZYMAMA KINGDOM 【岡山】
2017年1月7日(土) 名古屋ダイヤモンドホール 【愛知】
2017年1月8日(日) umeda AKASO 【大阪】
2017年1月20日(金) LIVE JUKE 【広島】 ※アコースティック特別編成!!
2017年1月21日(土) BEAT STATION 【福岡】
2017年1月22日(日) DRUM be-7 【長崎】
2017年1月28日(土) CLUB RIVERST 【新潟】
2017年1月29日(日) 金沢vanvanV4 【石川】
2017年2月4日(土) 豊洲PIT 【東京】
提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
企画・制作:RO69編集部