
「自分の気持ち」や「空想」を歌うことに、限界を感じ始めていたのかもしれません。誰かと会話したかった
── これまでの宇宙まおさんの歌は、「自分の気持ち」や「空想」を歌ったものが多かったですよね。そこから意識を変えたことで、ライヴの場などでお客さんの反応の違いを感じることはありますか?
「自分の気持ちや空想を歌うことに、限界を感じ始めていたのかもしれません。誰かと会話したかったんですよね。ホーリーホックの歌を作って以降、ほかの人とのやり取りのなかで何かを生み出すことがやりたくなって。そのためには、相手の意思も自分の意思も、そのどちらも必要だということに気付いたんだと思います。誰かが自分の歌を求めてくれているということは、自分からその人の世界に飛び込むっていうことだと思っているんです。基本的に、歌を歌ってそれを誰かに聴いてもらうという行為自体が、自分のためであることには違いないと思っているんですけど、その自分のまま、相手の世界に飛び込む感じ。その人の国の言語で、価値観で、一緒に生活していく感じ。これまでは、自分の国の門をとりあえず目一杯開けておくだけの意識だったので、そこが大きく変わったと思います。最初にチャレンジしたのは“無限の力”でしたけど、そこはある意味力づくの変化だったのかもなと思います。
人に何かを伝えるにはその人が何を求めているかを探る力がまずひとつと、それに応える力だと思いますね。それは別の職業の人でもできるけど、ミュージシャンはそれをすべて音楽で実行するんです。だからわたしはその力が一番ほしいです。
お客さんはいつだって素直なので、もしかしたら最初から同じだったのかもしれない、と思うこともあるんですけど、わたし自身の目から見ると、意識を変えてからは前よりも笑顔の人が多い気がするし、歌声も大きく返ってくるし、やはり会場全体がハッピーな方向になりつつあるなと感じています」
── アルバムタイトル『7つのうた、あなたの虹になれ』に込めた意味は?
「これまでの作品とは違った雰囲気のタイトルだと思います。これまでの宇宙まおとは明らかに違うことを、説明したかった! 『説明』でいいんだ、このアルバムは、という覚悟があります。わたしはこう思っていて、みんなに笑顔になってほしくて、そんな歌を歌っていきたいんだ!という信念をわかりやすく示したいなあと思い、このタイトルにしました。
これまでは『日常のなかのファンタジー』という世界観を基本に考えていたんですね。曲自体もそういった発想のなかで作っていて。ふわふわとした実体のないものをあえて作ろうとしていたというか。でもそういう『ファンタジー』の世界でずっとひとりで生きていてもつまらないなと思って。誰かに理解してもらって、一緒に楽しむには、まず説明をすべきだなと思ったんです。
虹というのは誰にとっても、前向きな意味のあるものだと思うんです。虹が出ると、みんな笑顔になる。なんか得した気分になる。幸運を感じる。元気が出る……マイナスなことを連想する人っていないと思うんです。そんな歌を作ることが目標です」
── ライヴも以前とはずいぶん変わってきましたね。みんなで宇宙まおの歌を楽しむ場、みたいになっています。ライヴに対する考えも変わってきましたか?
「変わったというよりは、固まってきたという感じです。前は何がいいライヴなのかということがよくわからなくて。自分の作品を発表する場、ぐらいの認識しかなかったんですけど、今は、みんなが楽しい、それがわたしの『楽しい』なんだ!ということがはっきりわかっているので、会場にいるみんなのMAXハッピー目指してがんばってます(笑)。
これまで、ステージは戦いに行く場なんだ!という感覚でした。だけど、発表する音楽も、日常での人との関わり方も変わってきたなかで、ライヴに対する考え方もそれに連動していきたいなと思うようになりました。誰かに喜んでもらう歌を作ったなら、誰かに喜んでもらうライヴをしたいっていう。そう思うようになったのは初めて『まんパク』で歌った時かもしれません。一昨年の秋に大阪の『まんパク』で初めてミニライヴをやらせてもらった時に、これまでライヴハウスやフェスの会場で見ていたのとは全然違うお客さんの表情に気付いて。環境や単純な距離感の問題だったのかもしれないけど、その時に、お客さんと一緒に空気を作る感覚を知ったし、それがすごく楽しいということも実感したんです」
この空の下、どこにいる人にも届くように歌いたい。今はやっぱり……虹みたいなアーティストになりたいです
── 宇宙まおさん自身はこれまでどんな歌にどんなふうに励まされたり力をもらったりしましたか?
「一緒にくちずさめる曲というのが、わたしには一番身近な存在だったと思います。緊張する場面でも、落ち込んでる時でも、どんな時でも『鼻歌って出てくるもんなんだなー』って気付いたことがあって。気持ちを紛らわすために、好きなメロディと言葉を、声に出すってことが、わたしは一番の救いになっていたと思いますね。小学生の時ピアノを習っていたんですけど、発表会の時のステージ袖の光景を覚えていて。とっても緊張していて、心臓バクバクで、怖くて怖くて仕方なかったのに、なぜか全く関係ない歌が頭に浮かんできて、それを思わず口ずさんでたりして。とか、中学生の頃は塾に通っていたんだけど、自習の時間はずっと口笛吹いてましたし(笑)。今思えば周りの子にとんでもなく迷惑かけてたな……(笑)。目の前のことで頭がいっぱいになると、バランスを取ろうとするのか、脳内にBGMが流れ出すんですよ。このあいだも、いろいろとつらいなーとうなだれてた時に『むげんっのちから〜』って無意識に口にしてて、自分で自分を励ましてると思ったら笑えてきました」
── 宇宙まおさんにとって「歌」とは何でしょう。その意味は変わってきましたか?
「基本的には変わっていないと思います。自己主張であり、人とつないでくれるものであり、友達であり……。そういう想いが7つの色になって、このアルバムを構成している気がします。ずっと変わらずに信じてきたものが、きっと聴いてくれる人に届くだろうと。この作品にはそういう想いを託しています。でも、自己主張+人とのつながり+友達+……=歌、というふうに上乗せしていく感じなので、結果的にはその割合は変わってきていると思いますけどね。全体に持つ意味が増えていっている感じです。
今回の作品は、心の一番素直な部分に届いたらいいなあと思います。『横からのぞいたり、斜めから眺めたり、見下ろしてみたりしなくていいんだよ』って。真っすぐに受け取ってもらえたら嬉しいです。わたしの歌で元気になってもらいたいし、ライヴで笑顔になってもらいたい。この空の下、どこにいる人にも届くように歌いたい。今はやっぱり……虹みたいなアーティストになりたいです」

提供:ランデブーレコーズ
企画・制作:RO69編集部
