ライブハウスシーンに一石を投じるReVision of Sence×ライブキッズあるある中の人 新世代対談(2)

ちんことかおっぱいって叫ぶことによって精神年齢がグッと下がる(河井)
――100円CDや「洗脳会」とかによって、バンドを取り巻くものは、確実に変化してきていますよね?
あるある そうだと思います。Twitterのフォロワーも急激に増えていますし。
河井 「知ってる人が増える」っていうその威力は大きいんですよ。
――コンテンツ配信業者が試しで「1ヶ月無料」とかやっているのと同じ発想かも。
河井 そうですね。「お金がないから観られない」っていう人を巻き込んでくのが、今の時代での一番のやり方だなと思ってます。
――お客さんが急激に増えているライブに関しては最近、コール&レスポンスがとんでもないことになっていますが、これに関してはどう感じていますか?
河井 コール&レスポンスは自分たちの見せ方の一環として始めたものなので、ここまでの盛り上がりになるとは予想外でした。でも、やってる内に、「この子らって、渋谷の駅前とかでは大声で叫べないことをライブハウスで叫ぶ快感をもう知ったんや」って、僕の目には映りました。つまり、「あのコール&レスポンスをしたいからライブに来る」になってるんですよ。それってやばくないですか?
――“ヨノナカカオ”の《「ブスは美人に勝てません!!!!!!!」》をお客さんが一斉に叫んでいる光景とか、かなりやばいですよね(笑)。
河井 僕も大事件やと思ってて(笑)。
――《ブスは美人に勝てません!!!!!!!》とか《男は正直金なかったらクソ》とか、みんな実は言ってみたかったことなのかも。
河井 そう。言ってみたいんですよ。ライブに来てくれたお客さんだから盛り上がってるのかなと思ってたら、コール&レスポンスの動画をTwitterに上げたら、どんどん人が集まるようになっているのにもびっくりしてます。
あるある 僕がDJをやってもらった時に彼(河井)がゲストで出て、“ヨノナカカオ”を歌ったんですけど、どうやら何千人かいたお客さんの内のひとりに刺さり過ぎたようで、「あんなことを言わされるなんて!」というクレームが来たことがありましたが(笑)。
――(笑)。この曲、最後の辺りで《それでも一度観てみたい ブスの大逆転を》って歌っているのに。
あるある そこまでちゃんと聴いてほしかったんですけど(笑)。あと、コール&レスポンスに関しては、曲の歌詞とは関係ないものの盛り上がりがすごいのも、最近の面白いところです。
――下ネタ系のやつとかですね。
あるある はい。曲と関係ないのに、すごくリツイートされてます。
河井 ちんことかおっぱいって、叫ぶことによって精神年齢がグッと下がるんですよ。それが気持ちいいんちゃうかなと。
――現場で叫ばれているコール&レスポンスを具体的に紹介したいところですが……「どれだけひどいか知りたい人はライブに行きましょう」ということで良いでしょうか?
河井 それでお願いします(笑)。
生き残ってくために必要なのは、「売れてしまうこと」なのかなと(河井)
――最近の状況を改めて見つめると、どんなことを感じます?
あるある お客さんの熱気、最近、明らかに変わってるよな?
河井 そうだな。
あるある この前、キャパ300くらいの会場での「洗脳会」で、550人くらいお客さんが並んだんですよ。この何かが始まってるような空気は、「洗脳会」に行かないと、なかなかわからないことかもしれないですけど。
――ワンマンライブとは違うタイプの熱気ですよね。
あるある はい。「洗脳会」は、普段のライブとは何か違う雰囲気があるんです。僕は初めて「洗脳会」に行った時からそういうものを感じてました。ここからもっと面白くなっていきそうです。
――今後、ReVision of Senceはどうなっていきたいですか?
河井 ちゃんと人気のあるバンドになっていきたいです。ロックバンドは「ホールでもやるようになって、その次は夢の武道館」っていうようなのがありますけど、そこから生き残っていくのは並大抵のことじゃないですから。生き残ってくために必要なのは、「ちゃんと売れてしまうこと」なのかなと。
――「洗脳会」とかで知ってもらった先で、ちゃんと音楽を愛されるバンドになりたいっていうことですね。
河井 そうです。僕らは今のところ色モノに見られるんです。「無料でやってるだけやん」とか「ライブはどうなの?」とか言われるんですけど、「同じことやれるもんならやってみ」と、いろんなバンドに対して思ってます。無料であれ、これだけのお客さんを集めるのは簡単ではないし、俺らのほうがいいライブをやれてると思ってます。
あるある ライブが良くなきゃ広まらないからな。
河井 うん。ライブが良くなかったら、次やる時はお客さんが減るか、ゼロになる(笑)。僕らはコンテンツとして力があるから、やれてるんだと思ってます。
――実際、お客さんは、曲にすごく感情移入してますよね。『クズの教典』に入っている“ヨノナカオレ”とか“大切じゃない人は、大切にしなくたっていい”とかも、こめられてるメッセージに共感する人がたくさんいると思います。
河井 代弁者になりたいと思ったことは一度もないんです。それよりも、思ってること以外言いたくないというのが大きいです。「お客さんのために」とか言い出したら駄目。自分のためにバンドをやってたいし、自分の人生を変えるためにやってるっていうのが、一番説得力があることだとも思うし。だから聴いてくれる人に「ReVision of Senceは代弁者や」って変に依存はしてほしくなくて。「自分でやるしかないんだ」って気づくひとつのメッセージになればいいなという想いですね。僕らは「面白い」だけで終わりたくないんです。本質はロック魂というか、ひっくり返す瞬間、泣ける瞬間にあると思ってるので。
――支持されるようになったロックバンドは、もともと色モノとして見られていた人がたくさんいますから、ある意味、ReVision of Senceのやり方は王道ですよ。
河井 それが正解になる瞬間があるんでしょうね。
あるある 前の世代のバンドがやってきた広め方を今の時代に合わせてやってるのがReVision of Senceなのかなと、僕も思います。10年後とかに今やってるようなライブの動画がYouTubeに上がって、「こんなことやってたの⁉」とかなったら面白いですよね。
河井 今、僕が一番思ってることは「やり切ってしまうことの強さ」です。レジェンドと言われてる先人たちも、みんなやり切った人たちなんやろうなと。やり切って信じ切るのが大事。それが成功に繋がるんやろうなとしか思えないです。
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企画・制作:RO69編集部