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100%楽しい人生なんてない。そこをグッとこらえて笑ってるんでしょ? で、笑ってるうちにほんとに笑っちゃうわけ。そこのアウトプットの音楽じゃないと、俺はやりたくない(YO-KING)

――シンプルだけど、街の真ん中で鳴る音楽ですよね。地下のクラブでひっそりと、っていうものには絶対になっていかないっていう。

YO-KING そうねえ。それはちゃんと、日常生活を楽しく生きてるからだろうね、普通に。ふたりはもちろん、関わる人たちも。「近所の人に挨拶する」とか「引きこもってない」とか、そういう話ですけど(笑)。健全な楽しさ、健全な寂しさとか、もちろん健全な虚しさもあると思うし。でも、そういうものもちゃんと引き受けながら、全生活の中の一部で音楽をやってるから。その一部の先に日常生活があるというか。聴く人はそういうところに、愛を感じるんじゃないですかね。男と女の愛じゃなくて、人が暮らしてるっていうことの愛っていうか。

――「健全に」ロックを鳴らすっていう、これまでの常識では矛盾したことを一貫してやり続けてるんですよね、真心って。

YO-KING そうだね。ロックもさ、もう自由にさせてあげたほうがいいよね(笑)。「セックス、ドラッグ、ロックンロール」じゃないけど、どうしても不健全なイメージあるし。コンプレックスを燃料にしてる音楽と、自信とか楽しさとか愛とかを燃料にしてる音楽はやっぱり違うし。コンプレックスで鳴らす音楽って、インパクトはすごくあるんだよね。特に若いと、その引力に引き寄せられちゃうんだけど、やっぱりだんだんしんどくはなるよね、聴いてると。ネガティヴなことを言葉として聴いちゃうと、波動的によくないから。ただ、ロックンロールって常にユーモアと一心同体で。プレスリーの腰振りも、たぶんあれギャグだからね、人を笑わせようとしてるっていう。だけど、ベトナム戦争やら何やらで世界が暗くなっていくと同時に、ロックが暗くなっていって。だから、一周して、また明るいほうに戻っていく、っていうことでいいんじゃないでしょうか、っていうね。

――そろそろロックを解放してあげてもいいんじゃないかと。

YO-KING そうそう。もう頑張ったよね、そっちのほうで(笑)。人が喜ぶ仕事をしてる、っていう自信ってすごいと思うんだよね。ライヴをやったら目の前の人が喜んでくれて、CD作ったら聴いた人が喜んでくれる。さらに、喜ばせることによって、世の中をちょっとでも良くしてるっていう自負――使命までは行かないけど、そういう楽しさはあるよね。正直、普通に生きてたら、いろんな嫌なことあるよ、もちろん。だけど、それを題材にしてもしょうがないじゃない? 変なタクシーの運転手の人に当たっちゃうとか。あと何だろう……風邪引いちゃったりとか? 大したことねえなあ!(笑)。でもさ、そんなのわかった上で、みんな明るく生きてるわけじゃない? だからこそ、明るい人、楽しい人って価値がある。楽しそうにしてたって、100%楽しい人生なんてない。そこをグッとこらえて笑ってるんでしょ? で、笑ってるうちにほんとに笑っちゃうわけ。そこのアウトプットの音楽じゃないと、俺はやりたくないし、「私はこんなに傷付いてます」みたいなこと言われても、今は聴けないかなあ。「いや、だけど、そこからどう楽しく生きるかでしょ?」っていうさ。

――だからある意味、真心ブラザーズって、真っ当に健全に生活を送りたいと思っている人が、いちばん自然に自分を重ねられる音楽だと思うんですよね。僕自身、「苦悩して作りました」っていう音楽にも好きなものはいっぱいありますけど、それはやっぱり、自分と作り手とのバックグラウンドの違いを認識した上で、その違いも含めて楽しむ、みたいなものだと思うし。

YO-KING そうだね。俺はその辺はもう、『倉持の魂』(ソロ1stアルバム。1991年)でクリアしてて。“ぼくは「本物」じゃない”っていう曲があって――その曲を作る頃はジョン・レノンみたいに、ちっちゃい頃にお母さんが死んじゃって、ミミおばさんが交通事故で亡くなって……っていう人生じゃない俺に、音楽ができるのだろうか?って22~23歳の時に考えた上で、「いや、できる!」ってクリアしてるわけ。当時でさえそこは悩んではいないけど、それ以降はそこに対して考えることはまったくないし。幸せで楽しい人が作り得る音楽も絶対あるし。特に、21世紀はそこに可能性があるんじゃないかな。

――来年1月からの『Do Sing Tour』は、MB'sとの東京・大阪公演と、「Low Down Roulettes」(Dr・伊藤大地、B・岡部晴彦)と回る全国7公演が並行して開催される形になりますね。

桜井 Low Down Roulettesもほんとね、大地くんと晴くんっていうリズム隊が日に日に強力になっていって、僕らにもいっぱいヒントをくれるので。もっともっといろいろできるんじゃないかと思ってます。

――東京は、中野サンプラザのMB'sも観たいですけど、LIQUIDROOMも楽しみですね。

YO-KING これは両方観たほうがいいっすよ。まったく違うから。バンドが違うと、自分も同じでいられないからね。そこも楽しいと思いますよ、観てて。たぶん、何曲かカブると思うんだけど、その差も2日来たら面白いと思うので。

――わかりました。今日はレーベル設立とアルバムの話だけじゃなくて、真心のかなり深い部分の話が聞けたような気がします。

YO-KING 深い話は好きだからね。深いことを浅くしゃべれる、数少ない人間だから(笑)。深いことを深くしゃべる人はいくらでもいると思うけど、深いことをわかりやすく、時々「飽きてきたな」と思ったら、ユーモアも入れてしゃべれる人って、そうはいないから。それぐらい……俺ってすごいんだよね(笑)。

――(笑)。オチまでいただいてありがとうございます。

YO-KING そうそう。そうかなあと思って(笑)。

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提供:徳間ジャパンコミュニケーションズ

企画・制作:RO69編集部

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