ジャンルレスな新AL誕生! fhánaのブレーン3人にクリエイティヴィティの真髄を訊く(2)
fhánaはみんな得意技が結構バラけているんです。それをみんなで持ち寄って曲に重ねられるのも、我々の強みじゃないかなと思います(kevin)
――ロック、エレクトロニカ、アニメとか、多彩な要素を反映しつつtowanaさんの歌を活かしたキャッチーな音楽として成立させているのがfhána?
yuxuki そうですね。どの曲もメロは重視していますので。
――ヴォーカルのtowanaさんの歌声は、あらゆる方向性のサウンドを歌モノとしてキャッチーに着地させる部分もあるんじゃないでしょうか。
kevin 我々が作る曲とtowanaさんの声のテンションが丁度いいんです。もっとドロドロした歌い方だと、曲自体が全然違う聴こえ方をするんでしょうけど。
佐藤 その感じは分かるな。例えばビブラートが効いた熱唱系だと濃過ぎる印象になるだろうし、かといってウィスパー系とか無機質な感じの歌だと何かが違うし。towanaは透明感と絶妙な加減のエモーショナルさがあって、ある意味、聖歌隊の小さな男の子的というか、中性的な部分もあるから、僕たちの作るサウンドにすごく馴染むんですよね。
――ニュートラルな声?
yuxuki そうだと思います。だからいろんなジャンルをやってもハマるんだと思います。
kevin 今回、全篇が英語の曲を初めてやっているんですけど、これもハマっていますから。
――“Relief”ですね。
kevin はい。彼女にとってもチャレンジだったそうです。「一皮むけた」感じがします……って言うと上から目線な言い方ですけど(笑)。fhánaは好きなものがみんな似ていたりもするんですけど、得意技は結構バラけているんです。そういうのをみんなで持ち寄って曲に重ねられるのも、我々の強みじゃないかなと思います。
yuxuki 全員が打ち込みで作れるので、「ここは彼に任せた方がいいな」っていうことができるんです。だから曲を作っている時は「バンド」というよりは、「クリエイター同士のチーム」っていう感じなんですよね。
――サウンドのテイストの方向性に関しては透明感が全体的にあるし、イギリスっぽいんですかね? まあ、大雑把な言い方にはなりますけど。
佐藤 なんだかんだ言ってもオアシスが好きですからね。
yuxuki あとレディオヘッドとか。
――アイスランドのシガー・ロスとかビョーク的な風味も少し感じたんですけど。
kevin 僕、シガー・ロスを聴きながら高校に登校していました(笑)。
佐藤 そういう雰囲気も入っていますね(笑)。
yuxuki 僕らは3人ともカラーが違う部分もたくさんあるので、ヴァリエーションが出ているんだと思います。
kevin 自分が作ったものにメンバーが音を乗せてくれるというのも、いいですよ。自分だけで作っていると、ソロと変わらなくなってしまいますし。僕、ソロでやっていたものに関しては、ほぼインストゥルメンタルだったんです。だからfhánaでやる以上、ポップスとして聴いていて楽しくないといけないなと。経験値が足りないところは、メンバーに音を加えてもらったり、アドバイスを貰って作っています。
――あと、デジタルサウンドと生音の独特な融合を聴かせてくれるのも刺激的なところです。
佐藤 僕は中学くらいの頃に音楽に目覚めてコピーしたり、曲を作ったりし始めたんです。当時はDTM黎明期で、シーケンサーに打ち込んでカセットテープのMTRに録音して、ギターや歌を重ねてデモテープを作ったりしていたんですよ。そうやって多重録音したものは自分としても気に入るんですけど、それとは別に学校の仲間とバンドもやるわけです。完全に生音でライヴとかをするんですけど、「悪くはないけど、完成度はそこまで高くならない」っていう感じがしていました。その後、大学生くらいの頃になると、みんな完全にパソコンを使って打ち込みで作る時代になったんですけど、今度は「今一つ完成度が低い」という印象(笑)。だから僕に関して言うと、「打ち込みと生のものを程よく融合させるといいものが作れる」っていう感覚があるんです。
yuxuki そう考えると、僕らのメンバー構成もいいバランスですね。今言ったような感覚がある佐藤さんと、わりと生楽器が好きな俺と、エレクトロニカのkevinがいるので。
kevin 程よくハイブリッドなfhána(笑)。
yuxuki そして、ポップでキャッチーなものがみんな好きなので、上手くバランスがとれるんでしょうね。
歌モノなんだけどシューゲイザーも、エレクトロニカも、ポストロックもあるっていう不思議なバンドなのかなと(kevin)
入り口はたくさんあるので、入ってきて頂きたいです(yuxuki)
――他にはあまりいないバランスの音楽をやれているという自負はあるんじゃないですか?
佐藤 自負とまでは言わないですけど、そういう存在になりたいなとは思っています。「どの界隈に行っても浮いてる」っていう。
――アニソンのイベントでも浮きます?
佐藤 そうだと思います(笑)。安心して聴けるポップスでありつつ、「あれ? ちょっと何かが違うぞ」っていうものにはしたいんですよね。
――僕が感じているfhánaの音楽の特色をさらに挙げるならば、「クライマックスの先にまだクライマックスがある」っていう作風ですね。“虹を編めたら”や“コメットルシファー ~The Seed and the Sower~”とかから、そういう部分を感じました。
kevin たしかに、サビが来た後に転調して、さらにすごいメロが来たりしますからね。
佐藤 アニメのタイアップは、特にその傾向があります。やっぱり89秒の中で刺激を求めるというか。変化していった方が、聴く人の耳を惹くので。それがだんだん癖になってきて、普通に作っていても「もう一盛り上がりさせなきゃ」みたいになっているのかもしれないです。
yuxuki アニメで流れる限られた尺の中では、インパクトを残すのが大事ですからね。
佐藤 でも、それを仕事だから仕方なくやっているというわけではなく、意外と楽しんじゃっているという感じがあるんです。
――果てしない盛り上がり方をしますから、歌うのはすごく大変そうですが。
kevin 大変だと思います(笑)。
佐藤 難しいでしょうね。高低差が激しいですし、急に変わった展開になったりしますし……頑張って歌ってくれてありがたいなと思っています(笑)。
kevin カラオケでも「歌いこなせなくて悔しいから歌えるようになってやる!」っていうチャレンジ曲みたいになっているんですかね?
yuxuki アニメで流れる部分だけ聴いて歌えると思って、いざ歌ってみたら爆死するパターン?(笑)。
kevin 「あれっ⁉ ここからこうなるの? 全然分からない!」って(笑)。
佐藤 僕としてはカラオケヒットする歌い易いシンプルな曲を作りたいんですけど(笑)。
kevin こうやってお話をして改めて考えると、やっぱり独特なバランスでfhánaは成り立っているんですね。「歌モノなんだけどシューゲイザーの入り口もあるし、エレクトロニカの入り口もあるし、ポストロックの入り口もあるし」っていう不思議なバランスがあるバンドなのかなと。だからさっきも佐藤さんが話をしたように、「いろんな場所で浮いてる」っていう感じになるんだと思います。
――fhánaはアニメソングが好きな人には支持されるようになっていますけど、今後、ロックやエレクトロニカとかが好きな人にもどんどん聴いてもらえるようになりたいですか?
kevin それはすごく思っています。
佐藤 ほんとそうだね。
yuxuki 入り口はたくさんあるので、入ってきて頂きたいです。
佐藤 こういう僕たちの枠で成功している人はまだいないと思うんです。ニコニコ動画とか、ネット出身のクリエイターで成功した例は既にいろいろあるじゃないですか。でも、アニソン界隈から飛び出して、ロックとかを含めたそれ以外のジャンルで成功するっていうのは、まだない気がしていて。ロックバンドがアニソンでも人気になったりとか、逆のパターンはたくさんありますけど。だからfhánaがそういう風になっていけたらいいなと思っています。
――アニソンのイベントに出た翌日に、普通にロックフェスに出るとか、理想的な形でしょうね。
kevin それはすごく理想的です。
yuxuki 今回のアルバムがそういうきっかけになったらいいですね。
佐藤 「アニソンだけど曲は普通にいいよね」みたいな感じじゃなくて、むしろ「アニメの曲をやっていたりする異端的な存在だからこそ美味しい」みたいな感じになれたらいいなと思っています。
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ミュージックビデオ
リリース情報
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初回限定盤
![](/contents/feat/fhana_201604/img/disc01.jpg)
通常盤
『What a Wonderful World Line』
2016年4月27日(水)
初回限定盤(CD + Blu-ray)¥3,888
通常盤(CD)¥ 3,240
02. What a Wonderful World Line
03. ワンダーステラ
04. Relief
05. little secret magic
06. Antivirus
07. 虹を編めたら
08. Critique & Curation
09. c.a.t.
10. Appl(E)ication
11. 追憶のかなた
12. ホシノカケラ
13. コメットルシファー 〜The Seed and the Sower〜
14. gift song
01. What a Wonderful World Line
02. 虹を編めたら
03. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
04. ワンダーステラ
-リスアニ!LIVE 2016 LIVE映像-
05. 虹を編めたら
06. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
07. divine intervention
08. 星屑のインターリュード
09. Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~
ライヴ情報
「What a Wonderful World Line Tour 2016」
2016年5月7日(土) 東京・LIQUIDROOM OPEN 17:00/START 18:00
2016年5月14日(土) 名古屋・Electric Lady Land OPEN 17:00/START 18:0
2016年5月15日(日) 大阪・umeda AKASO OPEN 16:00/START 17:00
2016年6月4日(土) 東京・Zepp DiverCity(追加公演) OPEN 17:00/START 18:00
チケット料金:スタンディング5,800円(税込)
※3歳以上有料 ※入場時ドリンク代別途500円必要
※整理番号順でのご入場となります。
※営利目的の転売禁止
※転売チケット入場不可 ※オークションへの出品禁止
提供:ランティス
企画・制作:RO69編集部