ピートがそれでも音楽をやる理由

ベイビーシャンブルズ『シークエル・トゥ・ザ・プリクエル』
2013年09月04日発売
ALBUM
ベイビーシャンブルズ シークエル・トゥ・ザ・プリクエル
このベビシャンの新作が出るまでの6年の間にピート・ドハーティはソロ・アルバムを一枚リリースし、リバティーンズを一時的に再結成させ、数回逮捕され、薬物のリハビリに行き、逃げ出し、ウェブサイトを立ち上げ、気が向くとライヴをしていた。つまりは通常営業、ピートらしく生きていたわけだが、そうこうする間に彼のソングブックは一杯になり、行き場を失った曲が溢れ出していた。だから本作には数年前から既にプレイされている曲や、当初はピートのソロ作として紹介されていた曲も多数存在する。新旧入り交じった雑多な、しかし何をしでかそうとどんなに堕ちようと、曲だけは常に書き続けてきた、生きることと音楽を作ることをイコールにしてきたピートだからこその筋が、本作の雑多性の中にはピンと通っている。しかも本作は薬中の混乱した頭をそのままぶちまけたファースト、バンドを再生させたライヴ感の強いセカンドと比較すると3作の中で最もきっちりプロデュースされているアルバムで、ピートの才能に相応しい土台が初めて築かれた一枚でもある。ここまで来たら憎みきれないろくでなしを永遠に貫いていただきたい。 (粉川しの)
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