世界の違和感に立ち向かうための一枚

Noise and milk『This Future』
発売中
ALBUM
Noise and milk This Future
痛い。こういう言葉で表現すると重苦しさばかりが先行して敬遠してしまう人がいるかも知れないが、ロックンロールは痛みと引き換えにかけがえの無い勇気を運んでくれるものなのだと、ぜひ知っておいて欲しい。『RO69 JACK 2012』で優勝しROCK IN JAPAN FES. 2012への出場権を獲得、今年のRIJFでは初日WING TENTへの出演を果たす、京都出身の3ピースNoise and milkのデビュー・ミニ・アルバムである。深みのあるコードのノイジーなギター残響が世界の違和感を伝え、それでも疾走感と力強さを損なわず、残酷なまでに潔癖な歌詞とメロディが届けられる全5曲である。

2曲目に配置された“Hey Lilly”では、追い込まれた若い感性が2本の美しいメロディ・ラインへと分岐して交差するクライマックスが聴く者の胸を掻き毟り、アルバムの至る所に散りばめられた「影」というキーワードは最終ナンバーの《自分の影に今夜 出発だって命令する》《影のない人々は昼に出歩いている》といった世界への宣戦布告に集約されてゆく。生き様と覚悟を明確に伝える、真にパーフェクトなデビュー作だ。(小池宏和)
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