爆風の果てに見えた透徹の地平
サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ『ラヴ・ラスト・フェイス・アンド・ドリームス』
2013年05月22日発売
ALBUM
前作『ディス・イズ・ウォー』後は6大陸/60ヵ国/ 311 公演というギネス記録もののワールド・ツアーでトータル300万人を動員してみせたサーティー・セカンズ・トゥ・マーズ、約3年5ヵ月ぶりとなる4thアルバム完成。シングル曲“アップ・イン・ジ・エアー”のハイブリッドな音像と雄大なコーラスが熱風のように身体を吹き抜ける多幸感。“コンキスタドール”のギター・リフが壮麗なストリングス・アンサンブルによって極彩色に輝き出す瞬間のスリル。高らかな鐘の音のように澄み切ったピアノの響きが希望そのもののように響く“シティ・オブ・エンジェルズ”……バンド・サウンドの剛性とダイナミズムを極限まで突き詰めた果てに獲得した『ディス〜』の惑星直列的なエネルギーを、爆音ギターの洪水という武装によってではなく、格段にスケール感を増したジャレッド/シャノン/トモの音の肉体によって実現しようとしているかのような今作。かつてない規模のツアーを通して、ジャレッド・レトは音楽の根源的&究極的な意義を掴み取ったのかもしれない―と思わせるだけの輝度と純度が、この12曲には備わっている。(高橋智樹)
2013.05.24 20:30