ノー・ウェイヴ/ポスト・パンク期のニュー・ヨークから登場したトーキング・ヘッズは、そう呼ばれるバンドたちに通じる「挑戦的」な音作りと、素晴らしい「うた」の奇跡的融合をなしとげていた。そのリズム隊であったクリス&ティナ夫妻が、最初は課外活動的に結成したスピンオフ・ユニット。80年代初頭には本体ヘッズ以上のヒットを飛ばしたことがある。それも「白人バンドとしては(ブロンディ“ラプチャー”とほぼ同時期に)初めてラップ/ヒップホップを本格導入した」曲で。
ティナの、いい意味で気の抜けた(笑)女性ヴォーカルをフィーチャーした彼らの持ち味は「肩に力が入ってない」感じのダンス・ポップ。そのわりに、この12年ぶりの新作のタイトルは……? ちょっと警戒しつつ(笑)聴いた表題曲では、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに始まるニューヨークのグレイトなロッカーの名前が羅列されている。そこにはちゃんとヘッズの名前も。いいね! 彼らとヘッズの中心人物は不仲だとよく言われる。お互い意地もあるだろう。だけど、さらっと出てきちゃう。だからこそ、全編が楽しく聴ける。素敵だ!(伊藤英嗣)
おしゃべり美魔女はキュートです
トム・トム・クラブ『ダウンタウン・ロッカーズ』
2013年02月20日発売
2013年02月20日発売
ALBUM