アーティスト

    かつてなく奔放に

    フューネラル・フォー・ア・フレンド『メモリー・アンド・ヒューマニティ』
    2008年10月08日発売
    フューネラル・フォー・ア・フレンド メモリー・アンド・ヒューマニティ - メモリー・アンド・ヒューマニティメモリー・アンド・ヒューマニティ
    00年代以降移り変わりの激しいラウド・ロック・シーンで生き残るために奮闘してきたフューネラル・フォー・ア・フレンドは、1stで与えた衝撃からUKラウド・ロック期待の星と見なされ、それを十字架のように背負ってきた。『rockin’on 11月号』のインタビューでいうところの「自分たちの中から湧き上がる情熱」が枯渇寸前になるまで追い込まれた末にメジャーを離れ、自主レーベルを設立、再スタートを切った彼らの4作目である。

    まず、意図的な狙いがまったく感じられない。スケールも大きくなって、ハード・ロックやヘヴィ・メタル、さらにはアコースティックまで本能の赴くままにブレンドしている。 “ユー・キャント・シー・ザ・フォレスト・フォー・ザ・ウルヴス”での「信じられるものが欲しい」と哀願するようなシャウト、“ビルディング”での自分自身に語りかけるような穏やかで力強いボーカルは生々しく彼らのリアルを切り取っている。FFAFの未来は恐らく本人たちにも分からないだろう。だけどここで鳴らされるサウンドは、解放の喜びで満ちていて、迷いは微塵もない。それが本当に頼もしい。(林敦子)
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