自然体の実験性

ブレット・アンダーソン『ブラック・レインボウズ』
2011年10月19日発売
ALBUM
ブレット・アンダーソン ブラック・レインボウズ
再びスウェードでプレイした結果、ロックをやりたくなったという2年ぶりのソロ。そのキーワードたるロックだが、これがみごとにブレットの考えるドラマチック、かつムーディなものとなっている。プロデューサーのレオ・エイブラハムズから提案された3日間かけてのジャム・セッションをベースに歌を付けていくやり方は通常のバンド・アンサンブルを基本としたものとは違うが、緊張感という意味では同様のものが得られつつ、独自のものも塗り込めやすいという面白い手法だ。
 
ピアノやチェロ、アコGなどでサウンドが構成されたセカンドやソフトな部分がフィーチャーされたサードなどの経験がこうしたアルバム作りへと導いていったのだろう。そういう意味ではとても自然体なアルバムと言える。プロデューサーのレオのキーボード等をはじめ、ギターにレオポルド・ロスや先日出たイーノの『ドラムス・ビトウィーン・ザ・ベルズ』でも叩いていたドラムスのセブ・ロッチフォードらと共に、決して大がかりで派手なところはないが無駄な音のいっさいない空間を作り上げ、バンドのグルーヴから引き出した世界を聴かせている。(大鷹俊一)
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