さあ、先に行こう

V.A.『ニュームーン/トワイライト・サーガ オリジナル・サウンドトラック』
2009年11月25日発売
ALBUM
V.A. ニュームーン/トワイライト・サーガ オリジナル・サウンドトラック
洋邦という区別自体はどうでもいいけれど、やっぱり洋楽ってまだまだすごい!というのが一番分かりやすく見えるのは、サウンドトラックの世界である。もう少し広く言えば映像に対するポップ・ミュージックの使い方と言ってもいいかもしれない。アップルのCMなどは最も象徴的だが、音楽が先にあって映像を作る場合はその音楽ときっちりと向き合うし、映像が先にある場合は、映像にジャストな音楽を付けるよりは、音楽が映像よりも一歩先に行くような使い方をしている。そこにはちゃんとミッシング・リンクがあり、発明があるのだ。もちろん、くだらないサウンドトラックもたくさんあるが、今のアメリカは全体的に幸福な状況なのではないか。何年か前からTVドラマでもインディ・バンドの楽曲が積極的に取り上げられるようになり、無名のテンパー・トラップなんかを使った低予算映画がヒットするような状況も生まれている。

言うまでもなくこのサントラはその最高峰。参加アーティストについてはクレジットを見てほしいが、これぞという大物も、刺激的な新人も、UKもUSも区別なく、更に一歩先へという意識を最優先した1枚が完成した。デスキャブは主題歌の役回りにふさわしい楽曲を提供しているし、こっそりBRMCやOK GOが入っているのも嬉しいが、個人的に最も素晴らしいと思ったのはキラーズの“ア・ホワイト・デーモン・ラヴ・ソング”。非常に分かりやすい曲だが、バンドの新章が開いてしまっている。幸福な場ではこんなことが起こってしまうのだ。(古川琢也)
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