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近い時期に結婚しても、3人が同世代でも、同時に産休に入り無事に出産するとは、運命的に結ばれたバンドとしか思えない。そんな奇跡を噛みしめながら聴く産休明け第1弾シングルが“明るい葬式”というのも痛快だ。生まれたての命と接しているタイミングで《葬式》!?という驚きは入り口で、奥には《とにかく生き尽くすのだ》と命とまるごと向き合っている姿勢が見える。涙がにじんでしまうメロディを力強いビートにのせ、《過去の栄光は真っ先に捨てて》と振り切る意思を見せ、《ロックンロールであの子を食わせてゆくのだ》と腹をくくる。伸びやかな林萌々子の歌声も、歌詞に頷くような「ヘイ!」というコーラスも、エモーショナルでいい。第2弾の“3036”は1分ちょっとのショートチューンで《腕に抱いた重みだけ/愛しさひときわ輝くのさ》と歌っていて、強さと切なさがあふれ出ている。2曲とも、かけがえのないすべてをこぼさずに、愛する人たちと音楽のために邁進する3人の今が映し出されていて、とてもまぶしい。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
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