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第91回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲として長屋晴子の作詞・作曲で書き下ろされた楽曲。冒頭、《僕らはいきものだから/背丈は伸び 嫌でも腹が減る/このままがいい/ただずっと願っていた》と成長という変化から逃れたいと願う子供の視点に立ったリリックによって穏やかに曲が始まる。しかし、サビで一気にストリングスが爆ぜ、伴奏が圧倒的な盛り上がりを描く中、《僕らはいきものだから/変わってゆく 心も身体も/僕らに待ち受けている/出来事の全てが宝だ/さよならだって繰り返す/変わりゆく僕らが美しいのです》と、成長を経験したあとの大人=現在の長屋から発するメッセージへと転換される。恐れることなど何もないと、その生は祝福されて然るべきものだと、堂々と告げるのだ。また、サビを繰り返す度に「現在の長屋」が放つビブラートの利いたファルセットが迫力を増してゆき、成長を果たすことの貴さや喜びが音楽的にも表現されている。この想いはこの曲を歌う子供たちにも、きっと刺さるはず。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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