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今年も8月に開幕する「夏の甲子園」こと「第106回全国高校野球選手権大会」。その「2024 ABC夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』テーマソング」として書き下ろされた新曲である。かつてはOfficial髭男dismの“宿命”が彩った場所と言えば、感慨深さを感じる人も多いことだろう。ラップあり合唱ありと1曲の中で様々な表情を見せつつ、全体としては、ねぐせ。らしい穏やかな抑揚に集約している。歌詞は「甲子園」というテーマを背負いながらも、りょたちの「人間」が剥き出しで表れているようにも感じる。生きていれば唇を噛み締める瞬間はたくさんあるが、ここに歌われているのは、りょたちが噛み締めてきた唇の奥にあった言葉たちでもあるのではないか。《ほんとありがとうな》と友へ語り掛けるような語り口と、《綺麗な涙がこぼれました》と手紙にしたためるような丁寧な語り口が、1曲の中で同居せざるを得ないリアル。「小さい頃に見た夢」ではなく《小さい頃の夢を見た》と歌うところに、胸が締めつけられる。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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