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2人体制移行後初、メジャー通算10作目となるアルバム。いきものがかりにとっての「ポップ」のメカニズムを、改めて開示してゆくような作品だ。肩肘張らず、ピアノとストリングスを中心に織り成すオープニング曲“誰か”でリスナー一人ひとりとまっすぐ対峙し、続くシングル曲“うれしくて”では《ひとつにならないでいい ばらばらの声/かさねてほしい かさねてほしい》と歌われる。それぞれの個性や属性を認めたうえで、それを越えてゆくダイナミズムを音楽に乗せること。水野良樹(G・Pf)のソングライティングはそんなテーマで一貫しているし、吉岡聖恵(Vo)が作詞・作曲した“好きをあつめたら”のメッセージを運ぶ凛とした力強い歌声も確信に満ちている。別れと旅立ちさえも祝福する“喝采”の名曲ぶりは素晴らしい。いきものがかりをやること/いきものがかりであることを引き受けたふたりの姿勢がありのままに音楽に反映され、お馴染みの顔ぶれをはじめとする数多くのプロデューサー陣も見事に楽曲を色づかせている。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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