『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
《自由を捨てろ》と強烈なアンチテーゼを唱えるリードトラック“自由”が鳴らすのは、リスナーの心を全力で駆動させるほどにみなぎった彼らの揺るぎないアイデンティティだ。たなかの千変万化なボーカリゼーションと掛け合うように流麗な音色を絶え間なく響かせるIchika Nitoのギター、それらを万全の土台で支えるササノマリイのトラック、目まぐるしく移り変わる構成――サウンドメイクにTAKU INOUEを迎えたことで3人の個性が爆発寸前のところで調和され、聴き終える頃にはアルバムを1作通して聴いたような没入感と陶酔感に浸っていることに驚く。そして表題曲となる“&疾走”では疾走するためには《ただしいフォーム》が必要であると呼びかけ、《魔法なんてない》《正しく踊れ》と叫ぶ。前作アルバム『CASTLE』での内省的で楽天的な逃避行の季節を超え、《崩れ落ちた城のまえで/痛いほど笑っていて》と歌う“王”で絞めくくられる本作で今、彼らは明確な意志を我々に届けようとしている。それは紛れもなく希望に満ちている。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
『ROCKIN'ON JAPAN』10月号のご購入はこちら
他ラインナップはこちら