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山口一郎以外のメンバー4人によるリアレンジ楽曲を収めた1枚目と、国内外の名だたるミュージシャンによるリミックス集の2枚目で構成された企画盤。原曲に込められている山口の歌心を尊重したうえで、各人によるコードやリズムの新解釈、サウンドテクスチャーの刷新によって、それぞれの楽曲が全く新しい響きと輝きを放っている。個人的には、後半にかけて壮大でドラマチックな展開をみせる“ナイロンの糸”(1枚目)に強く心を震わせられ、Floating Pointsの大胆なリミックスにより狂騒的なダンスビートが全面に出た“years”(2枚目)に特に圧倒された。今作で改めて浮き彫りになるのは、サカナクションの楽曲はリリースされ、ライブで披露されて完成するのではなく、いつまでも絶え間なくアップデートを重ね続けていく、ということだ。変わり続けることこそが彼らの揺るがぬ本質であり、尽きることなき音楽的探求心が豊かな結実を見せた今作は、まさにサカナクションの真髄そのものと言えるだろう。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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