軽快な鍵盤の旋律とファルセットのボーカリゼーションから始まるという、驚きの幕開け。そこからかぶいたような表情を浮かべた変化球の歌でもってメロディとビートを刻む。明らかに新機軸だ。これまでになかったような音色と自由に戯れ、1秒ごとに何が訪れるかわからない予測不能な3分半弱。
《息を吸わないだけで/生きてる事が染みて/幸せを追い抜いているんだって/伝わる訳がないよな》。秋山は「もしも精神が目に見えたら、決してはまらないパズルのピースのような酷い形をしていそうです」とコメントしているが、人間における中身と形、人間と人間のコミュニケーション不全、生きること──多くの光と闇を、実験的かつビビッドなサウンドに乗せて痛快に放つ。ボカロもアニソンも通過したハイブリッドなギターロックを軸にした
秋山黄色のさらなるポテンシャルにおののくとともに、今後への期待が大いに膨らむ曲だ。
なお、本作はミステリアスなアクション活劇ドラマ『封刃師』の主題歌。謎めきとアクティブさを湛えた曲とのマッチングもよさそうだ。(小松香里)
『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より