7月リリースの傑作『サンバースト』の興奮も冷めやらぬ中、立て続けにただならぬEPが届けられた。タメの効いたリズムの上で有機的にツインギターが絡むリッチなアンサンブルに乗せ《イカレた朝だ　笑い合ってさ／これが続けばいいのにな》と無防備なキラーラインを刺すミドルチューン“ある朝”。ナンセンスなワードを魔法のような精度で繋ぎ合わせ、聴き手のイメージをどこまでも加速させていくロックンロール“ブラックバードカタルシス”。ポストロック調のインストとチバのスポークンワードが合わさり映画的なイマジネーションを豊穣に膨らませる“レイトショー”。武骨なサウンドとエヴァーグリーンなメロディが同居したアンセム“ヘッドライト”。そう、ここにはチバがTMGE～ROSSO～The Birthdayと連なる比類なきそのキャリアにおいて刻んできたストロングポイントが、それぞれ最良の形で並べられているのだ。そして、その楽曲を奏でるバンドの演奏力は、紛れもなく今が史上最高だろう。なんという作家、なんというバンドだろうと、両手を挙げて降参してしまいたくなる圧巻のEP。（長瀬昇）

『ROCKIN'ON JAPAN』12月号より