以前、ライブハウスで
菅田将暉を見かけたことがあって、心底ライブを楽しんでいる姿が印象的だった。菅田のミュージックラバーぶりは、初のフルアルバム『PLAY』の作曲クレジットを見ても伝わってくる。自分が本当に好きなアーティストが作る楽曲を歌ってみたい。そんな欲望だけで作り上げたような1枚には、日本語詞によるフォーク・歌謡曲を愛する菅田の嗜好が溢れまくっていた。そのアルバムを引っ提げて、昨年11月に恵比寿のLIQUIDROOMで開催した一夜限りのプレミアムライブの映像作品。
石崎ひゅーい、秋田ひろむ(
amazarashi)らが楽曲を手がけた代表曲“さよならエレジー”や“ロングホープ・フィリア”をはじめ、
あいみょんのカバー“ふたりの世界”など、全15曲が収録される。映像に映るのは、素の菅田将暉だ。あらゆる役柄を天性の嗅覚で演じわけるように、シリアスなバラードからパンクまで、自由に音楽に身を任せて歌を紡いでいく。アンコールに、弾き語りで届けたひゅーい作の未発表曲“クローバー”も秀逸。俳優でも、音楽でも、菅田将暉は、素直に「表現」を楽しんでいる。(秦理絵)