00年代のオルタナティヴ/インディー・ロックを象徴する存在は、イギリスならアークティック・モンキーズ、アメリカなら彼らだった。ぼくはそう断言する。後者の最高傑作は、05年のセルフ・タイトル・デビュー作か07年のセカンドのどちらなのか、未だ迷ってしまいつつ。
11年のサードも良かった。本国では完全自主制作、レーベル無所属という姿勢を今も貫く彼らだが、セールス規模にふさわしいという意味で、メジャーなポップ感が最も出ていた。しかし、14年の4枚めは、きつかった。バンド名や過去の経緯から期待するものに比べ、暗すぎた。とりわけ15~16年は、個人的に、死にたいと思う感情に少しでもシンクロする音楽はかける気になれなかった。だから、なおさら聴きかえせなかった。彼らは終わったかもと自分のなかで決めつけかけていたところ、この5作めが。さて? むむっ、グレイト!
少なくともサード&フォースは完全に超えた。“ア・チャンス・トゥ・キュア”(M2)、“ファイアプルーフ”(M6)あたりが鍵。とくに、82~86年のオルタナが好きなひとは必聴といえる。原始と電子の融合を、もう一度始めよう。(伊藤英嗣)
見事なスタート・アゲイン!
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