能ある反逆児は爪を隠す

ロビー・ウィリアムス『ザ・ヘヴィー・エンタテインメント・ショー』
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ALBUM
ロビー・ウィリアムス ザ・ヘヴィー・エンタテインメント・ショー
テイク・ザット時代も含めて四半世紀以上UK国民的アイドル/エンターテイナーの座を占めてきたロビー。移籍第1弾となる本作はタイトルからして彼らしいけれん(ヘヴィに攻めまっせ!)+自嘲ユーモア(UKではライト[軽い]・エンタメは「お茶の間向けの無難な娯楽」の意)が感じられるし、洒落っ気たっぷりな前口上M1を経て、「愛してるよ!」と聴き手をねぎらうM11(コンサートの疑似SE入り)で終わる流れは、彼の人気の要因であるライヴ・ショウの構成を追体験させる。ヒット曲を多く手がけた恩師ガイ・チェンバースとの復縁も、「ロビー・ウィリアムス」ブランド=売りを確実に届けようとの気合いを伝える。

ゆえに――本家以上にキラーズっぽい(?)キラーズ提供曲やエド・シーランとの共作等、ナウさも軽く交えつつ――オアシス系の泣きがある演歌という定番スタイル(M5はハイライト)をがっちりおさえた盤石な内容になっている。が、その「色んな味を楽しめるチョコレートの箱」を思わせる全方位アプローチは、彼の器用さこそあぶり出すものの、アルバムとしては逆に薄味な印象を残す。おいそれとは本音を出せない、人気者の宿命を感じる1枚。(坂本麻里子)
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