美しく極まった、絵音の憂いとロマン

indigo la End『藍色ミュージック』
2016年06月08日発売
indigo la End 藍色ミュージック
“悲しくなる前に”“雫に恋して”“忘れて花束”“心雨”のシングル4曲とカップリング曲群“夏夜のマジック”“風詠む季節”の時点で十二分に予兆はあったが、前作『幸せが溢れたら』から1年4ヶ月の間にindigo la Endが獲得した音楽的進化の果実が、3rdアルバムとなる今作には全14曲の隅々にまで凝縮されている。それは単に「今作が佐藤栄太郎(Dr)加入後初のアルバムだから」というアンサンブル面での進化だけに留まらない。度重なるメンバーチェンジの果てに辿り着いた長田カーティス/後鳥亮介/佐藤栄太郎というラインナップの類稀なる(そしてゲスの極み乙女。のポップアクロバット感とは別種の)表現力を全身で呼吸することで、川谷絵音の「ポップミュージックの神秘を高純度に研ぎ澄ませるという探究心」と「彼の奥底から抑えきれずにあふれ出してしまう、この時代を生きる者としてのメランコリアとロマンティシズム」をとんでもない高次元で融合させることに成功している、ということだ。“藍色好きさ”の複層的な音像が驚くほどスムーズに脳裏に滑り込んでくる快感には逆らいようがない。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on