昨年2月、新たな環境づくりのため、活動休止期間に入ったアートスクール。同じメンバーでCOUNTDOWN JAPAN15/16のステージに立ち、復活を遂げた彼らが、ニューアルバム＆リリースツアーでいよいよ本格的に活動を再開する。そっと解き放っていくようなサウンドが柔らかに鳴り響き、織り重なっていくしなやかなヴァイオリンが、繊細な世界観を増幅させていく。《傷つけあって　また　舐め合って／ただ　それだけが真実なのさ》（“broken eyes”）――。大事なものを慈しんでいくような、木下理樹（Vo・G）の穏やかな声色に浮かび上がるのは、結成当初から彼がずっと言葉にしてきた「人はひとりでしかない」という事実だ。君と僕はひとつにはなれない。この作品がこんなにもたおやかに切なさを持って鳴り響くのは、孤独に身を委ね、心の闇と寄り添い合いながら歩いていく彼の不器用な生き方が、そのまま色濃く映し出されているからだろう。結成から約16年、傷だらけになって、壊れそうになって、それでも前に進むことを選んできた。この1枚からアートスクールの物語が続いていくのが喜ばしい。（中川麻梨花）