音が出た瞬間の重いファンク・ビートに明白な意志を感じる。最強のライヴ・ユニット、チック・チック・チックが帰ってきた。スプーンのジム・イーノのプロデュースで作られた一昨年の『スリラー』も完成度が高いアルバムだったが、今回はその体験をさらに前進させた音空間が築き上げられている。前作で、これまで以上に緻密な曲構成を聴かせ、ポピュラリティを広げるカードを手に入れた彼らだけに、ここではそれを有効に使い多方面へのアプローチを豊かな音で実現している。
今回はメンバーのニックとラファエルが40曲のトラックを作り、それを半分に絞り込み、NYやLA、オースティンなどでレコーディングを重ねながら磨き上げていったが、その研ぎ澄まされていく過程が楽曲からはっきりと伝わってくる。前作からの魅力的な歌メロを前面に出し突進していく手法をデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスを始めさまざまなダンス・ミュージックの渦の中に染み込ませ、どれも面白さのポイントやサウンドの肌触りが違っていてまったく飽きることがない。来日公演への期待値をマックスにするにふさわしいアルバムだ。(大鷹俊一)