ソロ・キャリアの代表作に

ルー・バーロウ『ブレイス・ザ・ウェーヴ』
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ALBUM
ルー・バーロウ ブレイス・ザ・ウェーヴ
6年ぶりのソロ作。近年はダイナソーJr.やセバドー、さらには客演絡みでのリリースが続いているが、ソロ名義は3枚目になる。アコースティックな弾き語りによるサウンドはソロならではだが、今作ではドラムが一切使われていないこともあり、ソングライター/リリシストとしてのバーロウの作家性により焦点が置かれたという印象。さらに、幾つかの曲ではキーを下げたウクレレを用いた初期の作曲手法が採られ、またスタジオでのライヴ形式による録音も行われるなど随所に原点回帰の趣向が窺えるのも今作の特徴だろう。

なかでも後者のスタイルでレコーディングされたM6、M8は白眉だが、過去にバーロウの楽曲に親しんできたファンにとっても改めて新鮮な印象を与える楽曲揃いに違いない。かたや多彩なゲストを迎えたJ・マスキスのソロ名義の近作と並べたとき、その手触りは驚くほどラフ&ミニマム。ローファイなバート・ヤンシュ、というイメージも湧いたが、私家版のような親密さや生々しさこそ今作の肝。再結成後のダイナソーJr.の作品にも携わるジャスティン・ピッツォフェッラートを迎え、ソロ・キャリアを代表する作品がここに。(天井潤之介)
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