北欧の俊英、踊る
ヤング・リーン『アンノウン・メモリー』
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ALBUM
スウェーデンのストックホルム出身のラッパー/プロデューサー。昨年発表した2枚のミックステープが称賛され頭角を現し、ヒップホップ系メディアのXXLで「15人の知っておくべきヨーロッパのラッパー」に選出されたことも記憶に新しい。個人的には、今年サマーソニックで来日したチャーリーXCXにインタヴューした際、彼女が今一番気になるトラック・メイカーとして挙げたことが名前を知るきっかけだった。そんな18歳の俊英によるデビュー・アルバムが本作。代表曲“キョート”等で聴かせたドープなダウン・ビート、スクリューで歪ませたテクスチャーやオートチューンで加工されたラップはここでも引き継がれている。今や同国出身のプロデューサーといえばアヴィーチーを思い浮かべる向きも多いかもしれない。が、ヒップホップ・クルーのサッド・ボーイズも率いるヤング・リーンの背景は、むしろ一頃リル・Bやクラムス・カジノに代表されたUSのクラウド・ラップ〜トリルウェイヴに雰囲気が近いかも。先鋭性はそのままに、プレゼンスの行き届いた仕上がりが名刺代わりの一枚にふさわしい。活動のフィールドが広がる予感大。(天井潤之介)