客電が消えて演奏が始まったときの低音の鳴りが桁外れ、サウンドのスケール感も桁外れ。そしてステージ中央からせり上がって登場したVaundyの存在感と放つエネルギーはそれ以上に桁外れだった。
ヒット曲だらけの『replica』のディスク2を「おまけ」呼ばわりしてたVaundyが、そのディスク2と入魂の新曲集ディスク1の曲をどう展開するかが注目ポイントだったが、ほぼ交互にやっていた。「一曲づつ交互にやりゃいいんじゃね?」というクソシンプルな発想。めんどくさいことを全部細かく考えまくるVaundyだが、やるときは大胆でシンプルだ。こんなところにも桁外れ感が漲ってる。
もはや言うまでもなく楽曲はどれもいいし、歌は圧巻だし演奏はムキムキだし、ライティングや(今では誰もが頼りの「映像」すらなしの)演出も完璧だ。しかもそれら全部を「やったぜ!」でも「凄いだろ!」でもなく「プロなんだからこれぐらいの仕事しようぜ」という感じでどっしりと提示するところがJ-POP界の中では完全に異質だ。しかも23歳で。
さてここから一体どこまで行くんだろうか、Vaundyは。計り知れない感だけがあった。
大会場では定番のMC、「後ろのほうの顔も見えるぜ」のあとに「いい建築物ってことだな」と言うのがVaundyっぽかった。そして客席のそこここで「建築物て!」と軽くツッコミを入れていた観客もじつにいいな、と思った。(山崎洋一郎)
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Vaundyの国立代々木競技場のライブを観て思ったこと
2024.01.22 19:40