只今絶賛発売中のロッキング・オン5月号でディスクレビューも書いたのだが、ザ・ナイフの新作『シェイキング・ザ・ハビチュアル』が凄い。
ザ・ナイフは、00年代以降誰よりも早くネットの匿名性を逆手に取ることに(あくまでも結果的にだが)成功したバンドだ。一見、曖昧で雰囲気先行のエレクトロニック・ミュージックを鳴らしているかのようで、刺だらけ(名前そのものだけど)の、静かに怒れる表現者だった。そして今作は、怒りが爆発しまくっているアルバム!
社会のいびつさ、固定観念の馬鹿馬鹿しさ、世界的にみても酷くなるばかりの格差、二極化。そうした事柄に、ザ・ナイフは怒っている。それが、言葉はもちろんのこと、音のひとつひとつに滾っているのだ。それをあくまでも抑制された洗練性で表現している。
あまりインタビューに答えることのないオーラフとカーリンだが、ピッチフォークでしゃべっているのでまだの方はぜひ。
http://pitchfork.com/features/interviews/9092-the-knife/
エレクトロニック・ミュージックはたかが手段、されど手段であって、言いたいことは死ぬほどある。そんな切迫感から生まれた傑作だと思う。
http://pitchfork.com/advance/62-shaking-the-habitual/
で先行試聴が聴けます。アルバムのリリースは再来週なので、衝撃を受けた方はぜひ入手して下さい。(羽鳥)