16年ぶりとなる奇跡的な再結成来日公演が目前に迫り、音楽ファンの間で大きな期待と興奮が高まる中、その熱狂を先取りするかのように、オアシス伝説のステージを収めた『オアシス|ネブワース1996:DAY2 Sunday 11th August』が、いよいよ明日9月12日(金)から全国各地で劇場公開がスタートする。言わずと知れたライブバンドであり、ロックの歴史にその名を刻んできたオアシスだが、中でも1996年に開催されたネブワースフェスティバルのステージは、名実ともに“最高の瞬間”と語り注がれる伝説のライブであり、まさしく歴史的瞬間を捉えた一作となっている。
そんな本作を試写会で一足先に観たが、スクリーンが暗転し若き日のメンバーたちが映し出された瞬間から、まるでタイムスリップするような感覚に包まれた。『デフィニトリー・メイビー』、『モーニング・グローリー』という2枚の歴史的アルバムをリリースし、まさにキャリアの絶頂にあったオアシス。ステージに登場したノエル・ギャラガーは、約12万5千人の観客を前にこう叫ぶ——「これは歴史なんだ。まさにここ、たった今この瞬間、俺たちが歴史を作ってるんだ」。演奏が始まる前からすでに異様な熱気に満ち、期待と興奮で膨れ上がる観客のエネルギーがスクリーン越しにまで伝わってくる。
ライブ本編では、リアム・ギャラガーがフロントマンとして圧倒的な存在感を放ち、“スーパーソニック”や“シガレッツ&アルコール”など初期の名曲をダイナミックに歌い上げる姿がとにかく眩しい。対照的に、ノエルによる“マスタープラン”のアコースティックセットでは、ステージの空気が一変し、静寂と感動が入り混じる時間が流れる。“ワンダーウォール”ではストリングスが交わり、楽曲のスケールをさらに引き立て、聴く者の心に深く染み渡っていく。
終盤には、ザ・ストーン・ローゼズのギタリスト、ジョン・スクワイアがサプライズで登場。“シャンペン・スーパーノヴァ”、“アイ・アム・ザ・ウォルラス”という珠玉の2曲でギターを鳴らし、観客とバンドが一体となる壮大なクライマックスを作り上げた。約12万人の観客が織りなすスペクタクルと、全てが頂点で噛み合ったパフォーマンスは、まさしく“伝説の夜”と呼ぶにふさわしい内容だった。
この『オアシス|ネブワース1996:DAY2 Sunday 11th August』で披露された全23曲のうち、実に15曲が現在進行中のオアシス最新ツアーでもセットリストに組み込まれており、10月に予定されている再結成来日公演の予習としても、これ以上ない内容になっている。スクリーンの中の“過去のオアシス”を観て、間もなく日本のステージで“現在のオアシス”を体験できるという、このタイミングはまさに奇跡的だ。かつてリアルタイムでバンドのサウンドに熱狂した世代にとっては懐かしさと感動がよみがえり、そして新しい世代にとっては、ロックバンドとしてのオアシスがいかに特別な存在だったのかを肌で知る貴重な機会となるだろう。(北川裕也)