22年のフジロック・フェスティバルへの出演も鮮烈に記憶に残るジャズファンクバンドのハイエイタス・カイヨーテの新作がいよいよ6月にリリースされる! オーストラリアが誇る超絶テクとパフォーマンスで知られるバンドで、ケンドリック・ラマー、ドレイクらがかつて自作にサンプリングしたほどだ。
しかし、Vo / Gのネイ・パームの闘病と療養を経て制作した21年の前作『ムード・ヴァリアント』を境に自分たちの演奏とパフォーマンスを極めるよりも、各楽曲の魅力をどこまでも引き出してみせるというアプローチに変化して、今度の新作『ラブ・ハート・チート・コード』もそうした路線の発展した形になっている。
もちろん、相変わらず演奏とパフォーマンスのテクニックは圧倒的なレベルのままだが、どの曲もとても聴きやすく、身体に染み込んでくる内容になっているのがとても魅力的だ。それは特に今回の内容が愛や関係性のかけがえのなさを歌ったものが多くなっているからだろう。そんな温かみが伝わってくる超絶パフォーマンスとなっているのだ。
先行シングルとして発表済の“エヴリシングズ・ビューティフル”、“メイク・フレンズ”、“テレスコープ”などの楽曲は特にこのアルバムの魅力をよく伝えていて、美しく、聴きやすく、なおかつハイエイタス・カイヨーテにしか鳴らせないファンクとなっている。前作『ムード〜』では、ブラジルの伝説のミュージシャンにしてプロデューサーのアルトゥール・ヴェロカイとのコラボレーションを実現させたのが大きな突破口となったとネイは語っているが、今回はほぼバンドによるプロデュースとなっている。ただ、ビースティ・ボーイズのプロデューサーとして有名なマリオ・Cことマリオ・カルダート・JRが全面的にミックスを手掛けている。
しかし、やはり重要なのは、このアルバムが伝えるモードやモチーフだ。もちろん、ハードな曲もあるが、タイトル曲“ラブ・ハート・チート・コード”でも歌われる「愛の心の裏技」というモチーフがこの新作を貫いていて、これが本作の最大の魅力だ。ちなみにこの曲のアレンジもまた素晴らしい。いずれにしてもさらなる新境地が嬉しい傑作だ。そして、10月末からはジャパンツアーも開催決定! (高見展)
ハイエイタス・カイヨーテの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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