金曜日に品川ステラボールでフライング・ロータスを観たんだけど、やられた、というよりまさに”殺られた”感じのパフォーマンス。
目玉は、アブストラクトな映像が映し出されるHyper Cubeという立体的なシースルーのスクリーンだが、その裏に現れたフライローはいつになくご機嫌で、「おれはもう既に酔っぱらってるんだ、そして、おまえらはもう死んでいる!」と言い放ちセットをスタート。
『北斗の拳』の有名なセリフをタイトルに拝借し、「生」が成り立つためには絶対に不可欠な「死」を追求した最新作『ユーアー・デッド』の内容と同じく、哲学とアートとオタク性に満ちた、彼にしか成しえない極上のエンターテインメントをみっちり披露してくれた。
しかも、そこで描かれているのは混沌した世界の中にある絶対的な到達点=「死」。
ただ、そんなゴールが見えているからこそすべてが始まっていることも見事に描かれていて、ポジティヴなエネルギーに満ちたパフォーマンスはあまりにも感動的だった。
セットの前半、スーツをまとったフライローは黄色く光るゴーグルがついた黒いマスクを被っていて、Hyper Cubeの裏にいるというのに異様な存在感を放っていた。
ボケっとそれを観ていて、なんとなく彼の存在が全知全能の”虫”に思えてきて、このパフォーマンスはそんな存在が、蚊帳(=Hyper Cube)の外に逆に追いやられてしまった人間どもに「生と死」の尊さを告げいるんだという妄想が生まれた。
自分でもなにを書いているのかわからなくなってきたけど、それぐらい強烈な体験だったということ。
アンコールはケンドリック・ラマーをフィーチャリングした名曲"Never Catch Me"。
ラップはレコーディングだったが、それでもケンドリックが放つ”you're dead!"は本当に鳥肌ものだった。(内田亮)