観終わった瞬間、思わず呆然としてしまった。
それぐらいの衝撃に満ちた、途方もない映画だった。

昨年1月の米サンダンス映画祭でのプレミア上映から約1年。
いよいよここ日本公開の時を迎えようとしている、X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』。

世界に飛び出し世界を揺さぶったロックバンドの道程は、なぜここまで波乱に満ちているのか。
97年のバンド解散→07年の奇跡の再結成に至る間、ToshIは、YOSHIKIは、メンバーは何を想っていたのか。
解散直後の突然のHIDEの死、決別から18年越しで訪れた邂逅の翌年に訪れたTAIJI急逝を、YOSHIKIはどう受け止めたのか。
そもそもYOSHIKIが描き出す音楽はなぜ美とカオスに満ちているのか。
X JAPANを巡るそれらの「謎」の正体に、どこまでも冷徹かつリアルに迫った、珠玉の映像作品だ。

特に、バンドを解散へと導いたToshl洗脳騒動の核心を、ほかでもないToshl本人が真っ向から語っているのには驚いた。
そこから伝わってくるのは、あらゆる困難を乗り越えてもなおその先へ進もうとする、X JAPANの「今」のモードだ。

そう、僕らは今、X JAPANと同じ時代を生きているのだ。
それを改めて思い起こさせてくれる1本であることは間違いない。
本作の全容はここでは割愛。ぜひとも劇場で確かめてほしいと思う。（高橋智樹）

●映画情報
『WE ARE X』
公開日：2017年3月3日（金）より全国公開
©2016 PASSION PICTURES LTD.
監督：スティーヴン・キジャック