レックス・オレンジ・カウンティのニュー・アルバム発売直前、新曲を初披露した特別ライブを観た

レックス・オレンジ・カウンティのニュー・アルバム発売直前、新曲を初披露した特別ライブを観た

今週10月25日にサード・アルバム『ポニー』を発売するレックス・オレンジ・カウンティが、NYのキャパ約600人の会場バワリー・ボールルームでライブを行なった。新作から何曲か初披露された、特別なライブとなった。

来年にはキャパ6000人ほどの会場であるラジオ・シティで2日間もライブを行なうほど人気のある彼にとって、キャパ600人は貴重すぎてファンは最初から最後まで大盛り上がりだった。

彼自身は、「たった2日前に発表したのに、来てくれてありがとう」とゆるーく言っていたが、観客の女の子が「アイ・ラブ・ユー!」と言うと、すかさず男の子が「アイ・ラブ・ユー・モア!」(僕の方がもっと好きだ!)と言ったので笑ってしまった。レックスも「これは競争じゃないんだから(笑)」と言っていたのが印象的だった。

登場では、何となく出て来て、「ハーイ、みんな元気? 楽しむ準備はできてる?」と誰もが言いそうなことを口にしたが、誰よりもさら〜っと言って、誰よりもさら〜っと新作の1曲目に収録されている“10/10”を歌い始めていた。すでにシングルとして発表されているので、さっそく観客は大合唱。


続けて、「新しい曲演奏してもいい?」と、“Stressed Out”を初演奏。これはキーボードで演奏され、歌詞が際立った曲。タイトル通り、自分の抱えた苛立ちと、周りの人達について歌うメランコリーな曲だ。

ここで新作からすでに発表されている“Pluto Projector”を。


さらに、「みんなが知ってる曲も演奏するから」と言って、新作から“Face to Face"も初披露。これは“Stressed Out”とは一転、彼にしては派手な前奏に始まり、レックスもラップしていた。歌詞は一度しか聴いてないので予測で書かないほうがいいかもしれないけど、彼女との未来を予想しているような内容か?

次は、この日披露された中では一番ロックンロールな曲“Never Had The Balls”。彼はギターを弾き、軽快なテンポで歌っていたが、歌詞の内容はタイトルの通り、自分の勇気のなさやダメな部分を歌っている。ただ、小鳥のさえずりなど全体の軽やかなトーンから言うと、むしろ希望に向かっているような気がする曲。

新曲の中で最もパワフルでエモーショナルだったのは、“Every Way”。これはビリー・ジョエルがピアノで歌う王道のポップソングの美メロを、2019年のいま彼流に解釈したような曲。「君のこと僕にできる限りすべての方法で大事に思っているよ。僕は問題だらけだけど、君は分かってくれるよね」という彼女に捧げたラブソングなのではないかと思う。

そこからは、昔の曲。“Untitled”、“Corduroy Dreams”、そして“Happiness”では《I'll be the one〜》とファンが先に歌い出し大合唱。“Sunflower”でも同様に《I want to know》とファンが先に歌い出していた。

本編最後の“Best Friend”でも、アンコールの“Loving is Easy”でも、ファンは大歓声と大合唱を続けていた。

この日、初披露された新曲は一度聴いた感じではこれまでの作品からの大きな飛躍というよりは、等身大に成長したような前作からの世界観が自然に前進した感じで良かった。サウンド・スタイルは曲によって大きく変えていたのが面白かったし、歌詞の内容も成長、成功した分だけ違う悩みもできた、というもののような気がする。

しかし、全体的には超レイドバックしたままで、今の世の中の緊迫をするすると緩めてくれるようだった。それを本能的にやっている感じが、今の若者に人気の理由なのかなあと思えた。曲間のファンとのコミュニケーションも自然だけど上手い。アルバムを聴いたわけではないけど、新作も彼の世界観が広がっているので、引き続き人気を拡大するのではないかと思えるライブだった。

レイドバックと言えば、勉強不足でタイトルの『ポニー』の絵柄を知らないで行ったので、後ろに掲げられたゆるーい絵が、ポニーなんだと気付くのに45分くらいかかった。動物だというのもしばらく分かっていなかった(笑)。失礼しました。

セットリスト
10/10(PONY)
Stressed Out(PONY)
Pluto Projector(PONY)
Face to Face(PONY)
Never Had The Balls(PONY)
Every Way(PONY)
Untitled
Corduroy Dreams
Happiness
Television/So Far So Good
Sunflower
Best Friend
[encore]
Loving is Easy
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