実話に基づいた奇怪事件の映画化『Foxcatcher』で、C・テイタム&S・カレルが超名演。

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実は去年からすでに話題になっていた作品『Foxcatcher』が、トロント映画祭およびNY映画祭で上映された。

これが本当に素晴らしい作品なのだが、内容的には超不気味!!!しかも、それが実話に基づいているというからなお怖い。

監督は、これまでも、『カポーティ』(2005年)、『マネーボール』(2011年)と、実話に基づいた作品を手がけてきたベネット・ミラーだ。

内容は、化学会社で有名なデュポン社の創業者一族の御曹司のひとりであるジョン・E・デュポンが、1984年に行われたロス五輪のレスリングで金メダルを獲得したデイヴとマーク・ショルツという兄弟を、ソウル五輪に向けて資金などを提供しチーム指導するというもの。自分の豪華邸宅に練習場を作り、兄弟には高額のギャラを払い、 ナショナル・チームの面倒をみるのだが。オリンピックが終了した後に、なんと、兄を殺してしまうのだ。

御曹司を演じるのが、スティーブ・カレル。これまでは、ほとんどコメディでしか知られていなかった俳優だ。また、弟を演じたチャンニング・テイタムも、ハリウッド大作やコメディで知られてきた俳優で、ふたりにとっては、イメージとはかけ離れた役でありながらも、超名演なのだ。弟は内向的で無口だし、御曹司も、家族は母しかいなくて、まったく社交的ではない。だから、何がすばらしいって、台詞はほとんどない中で、空気感で、この徹底的に間違っている何かを、表現してしまっているところなのだ。

御曹司には、彼を死ぬまで認めてくれなかった厳しい母親がいて、兄弟には、生まれた時からほとんど両親の存在はなく、育ってきた。だから、どこか惹かれるところがあったのだとは思わせるけど、こんな事件が起きてしまった「これ!」という決定的な理由は見付からない。というか、理由はものすごくたくさんあるように思えて、観客が行間を読み取り考えるという感じの作品なのだ。

アメリカの富や名声の暗黒について描いたとも言えるけど、それだけでは答えは見付からない。孤独や、独占欲、人間関係、様々なものを言葉なくして映し出した、本当に深く素晴らしい作品。いつも名演だけど、兄を演じるマーク・ラファロも素晴らしい。カレルは、顔に特殊メイクをしてまでこの役にのぞんだ。3人ともオスカーのノミネーションに匹敵すると思うのだけど、個人的にはテイタムにぜひオスカーを獲ってもらいたいと思うくらい。普段のイメージとはまるで違う名演だったと思う。

予告編はこちら。
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