The Drumsを観た!観た!観た!

The Drumsを観た!観た!観た!

ある意味衝撃。想像していたのとまったく違う意味で衝撃。The Drums初来日公演はフルハウスの会場に驚きと爆笑と歓喜と感涙をもたらした。いつ繰り出されるかと待ち構えていた「ジョナサン・ピアーズの江頭ダンス」は1曲目からフルスロットルで放り出され、アンコールまでいっときも落ち着くことなく駆け抜けていった。かっくんかっくんがしゃんがしゃんと、それはもはやロボット・ダンスなどと呼ぼうならロボットが怒鳴り込んでくるレベルのぎこちなさで終始繰り返され、そしてキメのポーズはあたかもバレエのようなお辞儀。さらには、覚えたての日本語が「コンニチワ!!」で、最初はいいものの、ライブが進んでいっても曲が終わるたびに「コンニチワ!」、また曲が終わってジャン!と演奏が鳴っても「コンニチワ!」とやるものだから、フロアはもうヘンなテンションで、でも、The Drumsのあまりにも野放図なポップ・ソングがそこに投げ出されるわけだから、いつのまにかそこには音楽の至福としか言いようのない世界が現出し、気づけば泣きそうになっていたのだ。

ジョナサン・ピアーズはモリッシーではなかった。けれど、やはりモリッシーだった。

モリッシーも、気持ちの悪いダンスでステージを花びらだらけにしていた。それは、決して自らがヒーローになるためのダンスではなかった。好んで聴いていたガールズ・ポップの、そのかけがえのないピュアネスへ捧げられた、ダンスだった。

ジョナサン・ピアーズも同じだった。それは、かつて自らを解放してくれた、チープでシンプルなポップ・ソングへの、捧げもののようなダンス、だった。こんなにも自分を解き放ってくれる、キラキラとしたポップネスを前にしての身悶え、だった。だからそれは、言うなれば「オタ芸」のごとき不恰好さと敬虔さをもって必死に為されていたのである。神聖なるアイドルに向けて献身的に捧げられる「オタ芸」。そんな構図同様に、ジョナサン・ピアーズは、クリシェを怖れず紡ぎだしたそのポップ・ソングへの愛を表現するために、不恰好なまま精一杯の信仰を供していた。その姿が、可笑しくて、哀しくて、そして、美しかったのだ。

「Let's Go Surfing」で自然にフロアに起こった、オーディエンスによるハンドクラップもまた、この会場に生まれた、祝福すべきポップネスへの、「オタ芸」に他ならなかったと、そう思う。
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