plenty、野音がびっくりするほど似合っていた。
桜は咲いているけれど、まだ肌寒いキーンとした春の夜の空気も、なんだかぴったりだった。
アルバム『plenty』を携えての「春 ワンマンツアー」は今日が初日。なので詳しくは書かないが、シングルリリースと『plenty』を経て自らの中のポップを開花させ始めたplentyの「今」がしっかりと刻まれた素晴らしいライヴ。
江沼の透明な声が、私達の心を吸い込み、夜空にどこまでも高く昇っていくようだった。
plentyを聴くと、今よりもっと許せないことが多くて、「しょうがない」と納得することを知らなかった子供の頃に持っていた頑なな正義感が胸の中でうずき出す。その感覚はちょっぴり痛みも伴うのだけど、音楽を聴く意味を思い出させてくれる貴重な瞬間でもある。今日のライヴも豊かな音に包まれながら、正直であること、誠実であることって一体どういうことなのだろうという問いを、いい歳して何度も反芻してしまった。
plentyの音楽は本当に容赦ない、美しい音楽だと改めて思う。
このツアーを経て、また一回り逞しくなったplentyのライヴを次に観る時が今からとても楽しみ。(福島)