会場入りしてまず度肝を抜いたのが、WWW Xとは思えない機材の量! それもそのはず、今回のライブ演出を手掛けるのはHinanoが連れてきたというライゾマティクス・真鍋大度ら錚々たるクリエイター陣。背面の巨大LEDと前面の透過スクリーンが真部とHinanoを挟み込みながら、Widescreen Baroqueが見せる「誇大妄想の世界」をぐわんぐわんに拡張していく。たとえるなら、某夢の国の映像型フライトアトラクションに乗っているような感覚で、ラスベガスの球体アリーナ「スフィア」とかで観たらすごいだろうなあと思うほどの迫力があった。
世に出ている2曲“Door to Door”“NO.5”は真部と共同アレンジを手掛ける奥野大樹のエッセンスを感じるクラシカルな趣が特徴的だったが、今回ライブで初披露された11曲(!)の中にはハウスやトランスからアンビエント的なアプローチの曲まで多彩。いずれにせよ、次回のライブがDJスタイルのナイトイベントというのも納得できるローの効きっぷりで、どの曲もとにかく踊れるサウンドだったのが音源にはない発見だった。そして、その重低音を越えて響くHinanoのまろやかでしなやかな声の粒立ちが見事に全体を引き締めていた。
MCによると、真部が「音楽に傾倒し始めた14歳の自分」に向けて書いたパーソナルワークこそがWidescreen Baroqueの楽曲を形作っているという。確かにどの曲にも、大人になるに連れて封じ込めた空想世界の扉を開くようなピュアネスが迸っていて、それが壮大なVJにも負けない曲の強度になっているように感じた。(畑雄介)
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