アニー・レノックスばりのルックスにイメチェンして以来、ケイティが変わっちゃった、大胆すぎるのでは、といったリアクションもなくはなかったと思う。
しかし本日リリースされた『ウィットネス』を聴いて思うのは、ケイティらしさは失われることなんて決してない、ということだ。
行き過ぎない実験性(前作『プリズム』もそうだった)はケイティのお手の物で、とにかく先鋭過ぎる一歩手前で大衆向けにするのが彼女は本当に得意。このアルバムもその真骨頂だと思う。ポップ・スターが先鋭的なことにチャレンジしても、聴き手がどんどんオープン・マインドになっていく今、『ウィットネス』の実験性がどう受け止められるのか気になるところ。
メインストリームのポップ・ミュージックがパーソナルな物語を語るべき、ということはケイティがデビュー当時から示してきたことだ。そこにはずっと「他の人と違ってもいい」というメッセージがあった。今、それはポップ界で当然のものになっている。
そして今、ケイティはその先にいる。それは端的に言えば、皆違っているのは当たり前だからこそ、「自分の足で立て」ということだ。しかも、そこに至るまでの悲しみや苦しみをケイティはきちんとプロセスとして描き、ポジティブさに変換してみせる。ケイティのポップ・ミュージックが世界最強なのは、そういうことだ。
アルバム全編いい曲揃いだが、今のところ個人的な好みは”Roulette”と“Miss You More"。
”Fireworks"に次ぐアンセムになりそうな”Roulette”は、プロダクションに頼らず歌メロで勝負するサビがケイティらしいと思う。あなたと一緒に制御不能になりたい、と歌ってるのに、緩急があまりないから逆に説得力が半端ない……。昨今のマックス・マーティン絡み仕事のなかでもかなりのいい出来では。
”Miss You More“のほうは、「あなたは私の秘密を全部知ってるけど、喋らないよね? 私もそうだから」という(これ、アンチ・テイラー・スウィフト・ソングと捉えられてしまうこと必至……)、悲しすぎて笑えるくらいの、凄いクオリティ。
ケイティ・ペリーが世界最強なのは、「自分の足で立て」と教えてくれるから
2017.06.09 11:58