『何者』と『何様』について

『何者』と『何様』について
いよいよ今週土曜10月15日から、直木賞受賞作である朝井リョウの傑作小説を原作にした映画『何者』が公開される。

「就職活動」と「SNS」という、ふたつの全く種類の異なる個人と社会を繋ぐものの巨大な「ねじれ」に呑み込まれる登場人物たちの姿に、現代を生きる、特に若い人の多くが身につまされるであろう物語。
何度かこのブログでも紹介しているけれど、三浦大輔監督による映画でしかできない表現も本当に見事なので、たくさんの人に観てほしい。

そして小説にせよ映画にせよ、巨大な魔物のような『何者』の物語に心をえぐられたあとには是非、同じく朝井リョウによる短編小説集『何様』を読んでほしい。
『何者』の登場人物にまつわる6篇のアナザーストーリーなので世界観は地続きだし、さらに「人間」を掘り進める生々しいものではあるのだが、衝撃の塊だった『何者』の種明かしの要素もあり少し安心できるところもある。
『何者』が暴いた狼狽えるくらいの「現代を生きる」ことの真実に、空気穴をいくつか空けて咀嚼しやすくしてくれる一冊。
『何者』の先に『何様』を繋いでいくところに、朝井リョウが、現代において人々に物語を提示していくことの意味をいかに真摯に考えている作家であるかが表れていると思う。(古河)
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